公開日 2012年9月7日
上映時間 126分
監督 本広克行
脚本 君塚良一
キャスト 織田裕二 深津絵里 ユースケ・サンタマリア 柳葉敏郎 小栗旬 伊藤淳史 内田有紀 香取慎吾
織田裕二主演の人気ドラマを映画化し
公式サイトより抜粋
日本の実写映画興行記録を打ち立てた大ヒットシリーズ最終作。
湾岸署管内で開催中の国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が発生し
被害者が射殺体で発見される。緊急招集された捜査会議では
すべての捜査情報を鳥飼管理官に文書で提出するという異例の義務が課され
所轄の捜査員は一切の情報を開示されないまま捜査を進めなければならない。
そんな中、第2、第3の殺人事件が立て続けに発生し……。
debuwo評価 38点
おすすめ度 ★★(星2)
今回もご多分に漏れず…
『踊るFINAL』を観て改めて思うのは、
このシリーズ、ほんまにツッコミどころが多い
ストーリーはめちゃくちゃ雑。設定も、展開も、え?ってなることばかり。
でもそれでも観れてしまうのは、役者の魅力値の高さとそのアンサンブル
構図や雰囲気だけで成立してる、画力だけでもってる漫画みたいな感じと言えば良いか
今回もその“踊るらしさ”は健在でした

90年代後半のテレビドラマと“時代ズレの不協和音”
『踊るシリーズ』のスタートは1997年。
当時のドラマとしては斬新やったし、筆者も本当に好きだった
青島の軽さも、湾岸署の雰囲気も“テレビドラマの味”として楽しめた。
でも映画になってからは、そのコメディがどんどん時代にそぐわなくなっていって──
ギャグセンスが能天気すぎて浮いてくるし、
シリアスをやろうとしても、現実の警察組織や事件への理解が浅くて
リアリティがついてこない。
コメディとして見るには寒く
シリアスな映画として見るにはやや稚拙という
良かった部分が不協和音を立てるシリーズとなっていた…

コメディとしてしんどい冒頭
今回のコメディでまず気になったのが、冒頭のからあげ屋潜入。
店そのものを作って潜入するって、無理あるやろ…。
青島もすみれさんも、他に仕事あるやろって突っ込みたくなるし、
OP直後の「こんなもの実現するわけがないだろ」という警視総監のセリフ、
脚本家にそのまま返したくなるくらいのやりすぎ感。

事件捜査の演出がひどすぎる
シリアスな部分はと言えば事件捜査がとにかくひどい
今回は過去の事件を再現するようなストーリーラインだが
展開に気づいた時点で予測できるはずだが、なぜか現場には青島だけ。
おまけに過去作の後遺症で満足に走れもしない青島が単独で捜査してて
誰一人随伴しない、周囲にも応援の警官は存在しない
そしてそんな警官達よりも
早く九州行きの夜行バスで現場に現れるすみれさん
──頭がくらっくらする
登場の仕方が木曜洋画劇場のノリというか、スタローンのオーバーザトップ風味。
ドンパチアクションやないんやから、これは西部警察的な映画でやってくれ、って思いました。

本筋のテーマと“描くための準備不足”
描きたいテーマやストーリー自体は、悪くないと思うが
ただそれを描くための“準備不足”が致命的で──
警察構造や事件の理解が浅い、アクションや捜査描写に緻密さがない
そしてコメディとシリアスの温度差が激しくて、その調整がまったく機能していない。
そういう要素が、作品全体の足を引っ張ってしまってる印象が強かった。
今作くらいの重いテーマがメインテーマなら
ギャグは半分以下で良いだろう
茶化すにはテーマが重すぎる

今だから許容できるのは
それでも最後まで観れたのは
やっぱり役者陣の力。これは色褪せない魅力
織田裕二さん、柳葉敏郎さんのカッコよさと貫禄。
深津絵里さん、内田有紀さん
──美しすぎる。存在そのものが作品の空気感を支えてる。

令和の時勢となる今見てもやっぱり突っ込みどころしかないけど
今となってはそういうダメさもどこか懐かしくて、ちょっとホッとする。
“これはこれで踊るやな…”と思わせてくれる作品でもありました
もし今後また新作があるなら、今度こそいい感じに進化してるとええなと、願いながら。

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