公開日 2023年12月01日
上映時間 111分
監督 デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本 デヴィッド・ゴードン・グリーン ピーター・サットラー
キャスト レスリー・オドム・Jr リディア・ジュエット オリヴィア・オニール エレン・バースティン ジェニファー・ネトルズ ノーバート・レオ・バッツ アン・ダウド
ビクターは12年前に妻を亡くし、娘のアンジェラを1人で育てている。
映画.comより一部引用
ある日、アンジェラが親友キャサリンと一緒に森へ出かけたまま行方不明になってしまう。
3日後、2人は無事に保護されるがその様子はどこかおかしく
突然暴れたり叫んだりと常軌を逸した行動を繰り返す。
ビクターは50年前に同じような経験から愛娘を守り抜いた過去を持つクリス・マクニールに助けを求め
悪魔祓いの儀式を始めるが……。
debuwo評価 40点
おすすめ度 ★★☆☆☆(星2)
エクソシストの正統続編
本作は1973年に公開された『エクソシスト』から世界観を引き継いだ続編
ストーリーは初代エクソシスト(1973年)から続くものとされ
初代の主演エレン・バースティンが演じたクリス・マクニールとして登場し
初代から50年後の現代に起こった事件を描いた作品となる
ちなみにエレン・バースティンは本作のギャラを貰う代わりに
ペース大学アクターズスタジオ講座の奨学金を肩代わりさせる事で出演を決定している
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結末の微妙さ
まず本作は悪魔祓いの結末と描写が微妙な上に鼻持ちならない
簡単なあらすじと結末は
二人の少女が悪魔憑きになる
↓
悪魔祓いをする
↓
マドックス神父が死亡した上に
トニーがある選択をした結果、キャサリンが死亡
アンジェラが生存する
といった内容で、今回の事件で悪魔憑きとなった人物が死亡しており
明確にバッドエンドと言わざるを得ない内容だ
しかし、本作はバッドエンドではなく、ビターエンド
なんならほんの少しだけハッピーエンドな雰囲気まで漂わせている
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契約を反故にする演出のつまらなさ
まずダメな意味で目に付くのが
悪魔が『どちらかを選べばそちらを助ける』と取引を持ち掛けたにもかかわらず
それを反故にし、選ばれなかった方を見逃し、選んだ方を殺した事だ
映像作品において悪魔との契約とは理不尽なものが多いが
契約が交わされた際は内容通りに履行する
決して良きものではないが、彼らなりのルールは守る存在であり
その結果、彼らはその側面を如何なく発揮するのだが
契約を順守するあまり足元をすくわれてしまう事もある
それ故に格を落とさず、魅力的にも見えてくる悪の華なのだ
コンスタンティンやエンドオブデイズのサタンが良い例だろう
しかし、それを破るとなれば天災と大差なく
選ばせた意味や演出には何の意味も無くなってしまい
それまでのバイブスが無価値となる
『無軌道に立ち回れば恐ろしく見える』
という訳ではないのだ
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モヤモヤしかないラスト
本作の悪魔憑きは黒人父子家庭のアンジェラと
白人核家族のキャサリンの2名で
主人公はアンジェラの父・ヴィクターなのもあり
多少物語のスポットライトは父子家庭に大目に当たるが
基本的には2つの家庭が悪魔憑きに翻弄されるストーリーを描いている
しかし、悪魔祓いが終わり、物語がラストに向かおうとした途端に
白人家庭の描写が目減りしていく
上述の内容からもわかる通り、死亡したのは白人家庭の娘・キャサリンだ
おまけに彼女が死ぬ決定的な理由は
彼女の父トニーが『どちらか一人を選べばそいつは生かす』
という悪魔の取引に応じた結果キャサリンを選んだ事に反して殺されたのだ
トニーや家族の絶望、慟哭は尋常ではないだろうと誰しも予想するところだが
悪魔が去ってからはアンジェラとヴィクターの描写に注力し
白人家庭の存在は途端にぼやけて、後日談へと展開していく
起こった事件に対して明らかに扱いが雑になり
舞台装置としての存在でないのかと思わせる描写の薄さは
まるでルーキーズ卒業の笹崎高校の様だ
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家系ラーメン映画的要素が謎
悪魔祓いの結末も謎ならば、参加者の動機もイマイチだ
本作の悪魔祓いの参加者は
- ヴィクター…アンジェラの父
- トニー・ミランダ夫妻…キャサリンの両親
- マドックス神父…カトリック教会の神父
- アン…ヴィクター家の隣人の看護師
- スチュアート…ヴィクターのお向かいに住むペンテコステ派の牧師
- Dr.ビーハイブ…ルートワーク知識に長けた医師
- レヴァンズ牧師…トニー夫妻が通う教会の牧師
現代的な配慮がなされ
他宗教、多国籍に合計7名にも及ぶ人間が参加している
しかし人数が増えた分、悪魔祓いに参加する人間の描写が希薄となり
死ぬかもしれないこの悪魔祓いに参加した動機がさっぱりわからない
参加者の人数を減らす、または上映時間を増やすなど
多方面への配慮を考えるよりも作品内でのバランスを考えるべきだ
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カラス神父に関する話題が無さ過ぎる
初代の悪魔祓いの要はやはりカラス神父の自己犠牲だろう
それこそ初代エクソシストを皮切りに、自己犠牲というのは悪魔に最も有効な反撃方法として
悪魔との戦いをテーマとする作品の多くで描かれている。
本編で50年前の悪魔祓いの現場にはいなかったとはいえ、様子を傍らで見守り
その後も熱心に悪魔祓いの知識を収集していたクリスが
カラス神父にどのような事が起こったのか
ヴィクターに話さないのは明らかに不自然だ
これではクリス演じるエレン・バースティンは
本当にただのファンダムに対する客寄せパンダでしかなく
過去作へのリスペクトがある様には思えない
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悪魔憑きを演じる子役たち
初代のリンダ・ブレアが演じるリーガンほどの
鮮烈的な何かがあったかと言えばNOだ
リンダの真似をすれば全てOKという訳ではないが
悪魔憑き的な顔芸以外にも思わず目を背けたくなるような描写が欲しかったところだ
PG12という年齢制限では過去作の様な描写はできないという事だろうか…
勿論演じていた子役の少女たちには何の罪もない
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身内向け映画の域を超えていない
エクソシストの続編モノとしての物量的な増加こそ興味を引く部分だが
現代的なポリコレや宗教観に対する目配せ
映画視聴に対する年齢制限に配慮した演出
純粋にストーリーが魅力不足など
ホラー映画としても、エクスプロイテーション映画としても
パワー不足を言う他ない出来栄えで
シリーズを追っているファンダム向け=身内向け映画としての作品
実は本作はエクソシスト新シリーズ三部作の一作目として制作された作品だが
このクォリティでフランチャイズ展開は非常に難しいのでは…
と、邪推せずにはいられない
![](https://www.eiga-hihyou.com/wp-content/uploads/2023/12/Exorcist-Believer-1-1024x542.webp)
おまけ ヤバすぎた初代エクソシスト
本作の前身となる『エクソシスト』は
憑依モノホラー映画のパイオニア的な作品で
1973年12月26日クリスマス直後に公開され
その衝撃的な内容が話題を呼び、一躍ヒット作となる
数千人という人間が一目見ようと長蛇の列を作っていた
早朝から深夜まで上映し続け、チケットが高騰化してもなお続々とやってくる観客
ピークの時は上院議員ですらチケットを取れないと噂が立つほどの人気ぶりだった
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