公開日 2023年11月03日
上映時間 125分
監督 山崎貴
脚本 山崎貴
キャスト 神木隆之介 浜辺美波 山田裕貴 青木崇高 吉岡秀隆 安藤サクラ 佐々木蔵之介
舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し
映画.comより一部引用
なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に
追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。
ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。
戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。
debuwo評価 90点
おすすめ度 ★★★★☆(星4)
シン・ゴジラと対を為す名作
ゴジラにまつわるポリティカルアクションは
『シン・ゴジラ』があるので同じことをやってもしょうがない
山崎監督はパンフレットでこう語っている
本作を語る上で見過ごすわけにはいかない作品
2016年に庵野組で制作されたヒット作シン・ゴジラは
これまでのゴジラの設定、世界観を捨てて全く新しい解釈で作られた
ありきたりな人間ドラマを捨てて、日本政府と言う組織を描く事に徹底した部分が話題を呼び
テンポ感が90年代アニメ的なメソッドであったのも印象的な作品だ
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一方で、本作ゴジラ-1.0は主人公・敷島浩一に焦点を当てて
元軍属とはいえ民間の人々が立ち上がるストーリーライン
そして戦闘シーンも海戦が主軸だ
- 革新的なゴジラ↔伝統的なゴジラ
- 組織↔個人
- 政府↔民間
- 市街地戦↔海戦
山崎監督はシン・ゴジラがある種の到達点として高く評価しており
同じ路線で追うよりも独自路線の方が良いものが出来ると判断した結果だろう
結果として、シン・ゴジラとは対を為す尖った作品になったのは間違いない
ポリティカルに対する不信感
山崎監督は2017年12月に2020東京五輪の式典総合プランニングチームの一員に選ばれたが
同オリンピックの延期に伴い、退任した。
コロナウイルスの蔓延、オリンピックの頓挫
政府ではなく個人の力で状況を打開するという展開
そして本作の結末はシン・ゴジラだけでなくこれらの影響も大きいのだろう
神木隆之介と浜辺美波の魅力
ゴジラだけでなく、登場人物が魅力的なのも
大きな推進力となっているだろう
まずは神木隆之介が演じる主人公・敷島浩一
特攻から逃げ出し、ゴジラとの遭遇によるトラウマで
自分の中で戦争に訣別できない男
この役を演じる為に神木隆之介さんは
- 携帯の待ち受けを「早く死ねよ」という文字に変える
- 鏡に向かって「お前は生きていちゃいけない人間」と言い続ける
など、一般人からすれば驚きを隠せない役作りで本作に臨んでいた
後に失敗と語っているものの
ここからくるネガティブメソッド演技は目を見張るものがあり
典子に自分の戦争が終わっていない事
生きていてはいけない人間だと告白するシーンの迫力とネガティブさは必見だ
また、公開当時、演技が大げさ・オーバーリアクション等と言われていたが
よくよく考えてみれば当然だろう
敷島は、そもそも特攻部隊として戦地へ赴くが大戸島で立ち止まり
そこで呉爾羅に橘以外の整備兵を殺され
やっとの事で人生を立て直したところで
共に生活していた人々をゴジラに蹂躙される
これで絶叫しない人間がいるのだろうか?
増して、現代と異なり絵空事とはいえ巨大生物や怪獣などは
想像だにしない所でゴジラなのだ、敷島が叫ぶのがむしろ自然とさえ思う
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次に本作のヒロイン、浜辺美波が演じる大石典子
戦後の日本で赤ん坊の明子を抱えながら逞しく生きる女性
美しい女優さんは多く存在するが
2023年の現代において彼女ほど戦後の昭和の雰囲気にフィットできる女優は存在するのだろうか?
昭和のヘアスタイルも難無くものにする気品あふれる美しさは誰しもが認めるところだろう
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推しの戦闘シーン
ゴジラのテーマが大々的に流れる銀座蹂躙や海神作戦も捨てがたいが
筆者が特に推したいのは
新生丸とゴジラの海上戦だ
この巨大怪獣を眼前にして、『木造の船2隻で足止め』という
劇中の人物すらも嘆くこの状況を
どのように打開するのか、次のシーンにつなげるのか?
メタ的な捉え方ではあるがのめり込まずにはいられない状況
- 人物設定が活かされる打開策
- 驚くべき援軍
- さらに衝撃の結末
モンスター映画としてテンポ感もよくゴジラ的な結末もとても良い
また、本作で作成された水のCGは
パーティクル数が2億個でシミュレーション結果のデータ量が500テラバイトと
とんでもないデータ量の演算で作成されている
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銀座で個人を見つける難易度
魅力的な作品だが、全く突っ込み所が無い訳ではない
銀座を蹂躙するゴジラを尻目に逃げ惑う人々
そのうちの一人である典子は、途中で転倒しいよいよ…となる
しかしその瞬間、颯爽と敷島が現れて典子を連れ出す…!
流石にノーヒントであの人混みの中から典子一人を見つけるのは
ニュータイプがジェダイでもない限り不可能だ
典子の勤め先を元々描いておくとか
彼女と敷島が合流する展開にもう一工夫欲しかった…
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来るべき予兆
本作の一連の顛末はおおよそハッピーエンドにも見えるが
最後の最後でとんでもない描写があり
直接的な関係はないが、過去作を見た人間ならある作品を想起するはずだ
このまま進めば実はバッドエンド直行なのが恐ろしい
願わくば、続編を製作して結末を見せていただきたい
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良い映画を観たら絶賛したい!
配信での話になるが筆者は2019年に公開された
山崎貴監督による作品「ドラゴンクエスト・ユアストーリー」をこれでもかと叩いている
あの作品を見て憤慨したのは事実だし、今なおその評価は変わりません
しかし、それと同様に本作はとても面白く絶賛しており
監督の次回作が如何に不評でも変わる事はないでしょう
もっと時間を巻き戻せば、2002年公開のリターナーも絶賛しています
何が言いたいのかというと、完全に個人の見解ですが
過去作の印象で映画の批評があまりにも厳しい判定になるのは如何なものかと思ったりします
勿論、自分にもそんな瞬間はあるのですが
その都度この件を思い出し精進していきたいと思います
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↓筆者のドラゴンクエストユアストーリーのレビュー動画
クリックすると動画が開きます
![](https://www.eiga-hihyou.com/wp-content/uploads/2023/11/映画感想サムネ012_1-1024x576.jpg)
↓本作の動画レビュー ※アプローチは本記事と若干異なります
おまけ:最も〇〇なゴジラ
ゴジラの描写で唯一納得いかなかったのが噛み付き攻撃だ
珍しく今作のゴジラは一個人に対して直接の噛み付き攻撃を行っているが
どれも咥えて天高く投げ捨てるばかりで
人体がかみ砕かれ、引き千切れることはない…
流石にこのゴジラの咬筋力がその程度とは思えない
その瞬間だけは「君はヨッシーかな…?」なんて思ったりしていましたが
加減して嚙んだという事は、このコジラは絶妙な力加減を持っており
最も甘噛みがうまいゴジラと言わざるを得ない
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