公開日 2023年01月27日
上映時間 168分
監督 大友啓史
脚本 古沢良太
キャスト 木村拓哉 綾瀬はるか 伊藤英明 中谷美紀 宮沢氷魚
時は戦国時代、尾張の国に『うつけ者』と称される人物がいた。
MIHOシネマ様より引用
後世まで名を語り継がれていくことになる織田信長である。
彼は、政治のため美濃の国の濃姫と結婚をすることになった。
いわゆる、政略結婚である。
しかし、女性は男性の後ろをついていくものとされていたその時代にそぐわず
濃姫は非常に気の強い人物であった。
濃姫はあの織田信長に対しても遠慮なく意見をぶつけ、二人は衝突を繰り返す。
しかし、ある日共に作戦を立案し窮地を脱したことから
二人は互いを認め合うようになっていく。
こうして、織田信長と濃姫の、二人の天下統一の日々が始まったのであった。
debuwo評価 70点
おすすめ度 ★★★☆☆(星3)
東映創立70周年記念作品
二度目の信長と濃姫
日本が誇る映画配給会社東映が
制作費20億円を掛けた大作
幾度と無く映像化された織田信長の人生を
信長と濃姫の恋愛を軸に彼らの30年を描いた
全く新しい解釈の作品。
本作とは無関係だが
木村拓哉はテレビドラマ『織田信長』(1998年)
綾瀬はるかは映画『戦国自衛隊1549』(2005年)
お互いに二度目の信長・濃姫を演じる事となる
キムタク信長と木村拓哉信長
本作は30年に渡る信長を演じる事となるのだが
現在の年齢とマッチしている天下人・織田信長を演じた際の
役者・木村拓哉の雰囲気は言うまでもなく
若かりし頃の信長を演じる彼も、正にキムタクのパブリックイメージ
キムタク感をそのまま醸し出しており
うつけと言う言葉に非常にマッチしている
かの有名なSPACE BATTLESHIP YAMATOのように
前面にキムタク感を出すのではなく
若かりし頃という要点に絞った使い方はナイスアイデア
齢50にして、何の違和感もなく10代~20代の信長を演じる事が出来
年相応の迫力も出せる役者・木村拓哉は流石と言わざるを得ない
麗しの濃姫
木村拓哉が彼らしさと、歳を重ねた役者力を絶妙にMIXしているのに対して
強く美しい濃姫と言う存在を完璧に演じきっていた
日ごろから青の着物を身に纏い、鍛錬を欠かさず
事となれば信長すら容易くねじ伏せる体術
その凛とした振る舞いは
ホタルノヒカリ等でみせた緩い雰囲気は皆無
もはや別人である
彼女に限った話ではないが、アイドル出身の女優が
若かりし頃に出す特有の『役をやらされている』感じは全くなく
そこには女優綾瀬はるかがその魅力を発揮していた
脇を固める名優たち
本作は脇を固める登場人物も魅力あふれる者ばかりだ
濃姫をいつも見守る各務野を演じる中谷美紀は
終盤では序盤で見せた美しい侍女から転じて年老いた様を演じており
いつ如何なる時も決して前に出すぎる事はないものの
存在感を常に示し続けてきた
福富平太郎を演じる伊藤英明は
年を経ても全く衰える兆しを見せず
常に雄々しく、逞しい男が憧れる男を具現化したような存在
信長が濃姫を託すのも納得の男前
彼は各務野とは逆に、脇に映っているだけなのに
一々存在感があるのが面白い
顔認証出来ないほどの特殊メイク
一番驚かされたと言えば
斎藤工さんが演じる徳川家康だろう
特殊メイクを駆使して作られたその見た目は
スマホの顔認証システムが機能しないほどの変貌ぶりで
斎藤さんがキャストに名を連ねていることを知らなければ
劇中の家康を見ただけでは、彼だと気付くことすら難しいレベル
不穏な意味は全くないが…
レジェンドである信長と、後に天下を取る家康
役者的キャリアからこの配役は
妙に納得できるところがある…
なんで秀吉って…
音尾琢真さんが秀吉を演じきったのは間違いないが
いや、演じきったからこそ言わせていただきたい
そこまで秀吉を汚らしくせんでええやろ…
歴史上、貧しい農民の出とされているが
他の登場人物に比べてあまりにも汚らしすぎる…
作中でもおしゃれとされ、部下の髭チェックもしている信長が
こんな身なりの男を近くに置くと思えない…
戦のシーンが少ない
本作は、信長と濃姫のラブストーリーである
極端な話だが、歴史上の出来事は二人の関係に変化をもたらす舞台装置でしかない
しかしながら、もう少し信長が闇に落ちる出来事は丁寧な描写が欲しかった
金ヶ崎の戦い辺りから、気が付いたら二人は険悪なムードになっており
決定打となる濃姫の流産以前からロクに会話をしてなさそうだ
あれだけ関係を深めた京都のお忍びデートから何があったのだと言わざるをえない
※とはいえ、お忍びデートで二人の関係性の陰りを暗示した仏像が返り血を浴びるシーンは好き
ラストシーン
何が起こるかまで説明するまでもないが
最期の最期に至る過程からして素晴らしい展開で
濃姫と争った時はあれほど弓が苦手だった信長が
本能寺では百発百中で兵を射抜き
絶望的な状況でも何としてでも帰ると絶叫する
しかし雪崩のように押し寄せる兵には敵わず敗走する
満身創痍、逃げ惑った果てに、束の間の夢を見るがそれも幻
覚悟を決めた信長は最後に口ずさむ
「ずっと、好いておった」
焼ける本能寺の音だけで始まるスタッフロールの衝撃は
謳い文句に偽りなしの出来栄え
完全無欠の名作とは言えないが
確かな魅力を持った素晴らしい映画でした!
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