孤狼の血 LEVEL2【ネタバレあり】

★★★★

公開日 2021年8月20日
上映時間 139分

監督 白石和彌
脚本 池上純哉
原作 柚月裕子
出演者 松坂桃李 鈴木亮平 村上虹郎 西野七瀬 滝藤賢一 中村獅童

作家・柚月裕子の小説を原作に
広島の架空都市を舞台に警察とやくざの攻防戦を過激に描いて評判を呼んだ「孤狼の血」の続編。
前作で新人刑事として登場した日岡秀一を主人公に

3年後の呉原を舞台にした原作にはない完全オリジナルストーリー
3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害された、伝説のマル暴刑事・大上の跡を継ぎ

広島の裏社会を治める刑事・日岡。
権力を用い、裏の社会を取り仕切る日岡に立ちはだかったのは、上林組組長・上林成浩だった。悪魔のような男・上林によって、呉原の危うい秩序が崩れていく。

映画.comより一部引用

debuwo評価 93点
おすすめ度 ★★★★☆(星4)

前作とは根本的なコンセプトは別の作品

前作・孤狼の血が
別所さん演じるガミさんと新人刑事・日岡の
ヤクザ系バディムービーだったのに対して
孤狼の血 LEVEL2は
ガミさんの後を継いだ・日岡と
ムショから解き放たれた最強モンスター上林による
命を懸けたガチンコ対決
ヤクザ系モンスタームービーだ!
前作がハードボイルドなのに対して
今作はド派手なバイオレンスアクションで
方向性は違えど傑作の出来栄えだ!

圧倒的モンスター上林!

松坂さん演じる覚醒した日岡の変貌振りや
ヤクザ映画独特の雰囲気がシリーズ人気の要因でもあるが
ヒットした一番の要因は、やはりこの男

鈴木亮平さんが演じる
上林組組長 上林成浩(うえばやし しげひろ)

公式の予告編みれば一目でわかる、とんでもない暴力性と狂気を秘めた男で
とにかくこの上林という男が魅力的!
更正不可能なレベルの極悪人で、救いがたい存在
圧倒的な悪として描かれているが

  • ダークナイトのジョーカー
  • カントリーフォーオールドメンのアントン・シガー
  • パージエクスペリメントのスケルター

彼らのような
突然現れた天災のような悪ではなく
人間らしい一面やこうなった経緯が描かれているのが
それらの悪役とはまた違った味があって良かった

↓上林級の悪党特集記事はこちら!

圧倒的真面目人間上林!

この上林はとても実直な人間だ
化かし合い、騙し合いが飛び交っている作中で
唯一、嘘が無い・迷いも無い人間として描かれていて
出所後に最初にとった行動以外は全て五十子会長への仁義を通す
この一つの目的のために一貫している
唯一例外の行動にも、彼なりの筋の通し方になぞっているので納得
役者の鈴木亮平さんもインタビューで答えているように
見方を変えれば、とても真面目な人間なのだ
※なお、作中でやってることは極悪…

実は結構面倒見がいい!?

悪の華としての魅力だけではなく
気に入った奴に対しては面倒見がいいという一面もある

最初はグーじゃあ!
ジャンケンポンじゃあ!
(プスー


ある人物にシャブを打った後に

シャブを決めるとのぉ…
体の中にもうひとつ太陽が出来るんじゃあ…


さもうまい飯に弟を連れていった様な楽しそうな口調で話す
そのフランクなニコニコっぷりは必見!
そしてただ優しいだけでなく、筋を通していない子分には
ちゃんと諭してケツを叩く気概もある
というかそんな事で尻込みする上林は想像できない…
焼肉屋でのチンタとのシーンは
愛のある悪の闘魂注入・まさに悪のロッキー
狂人ではあるが、身内と認めた相手には結構優しく
厳しい所は厳しいとんでもない悪人
しかし、そんな彼だからこそついていく人がいるというのも
納得の魅力が彼にはある

雨のシーンから見える上林の意外な一面

前述の点を踏まえてみれば
ある郵便物を受け取ってからのテンションの低さや
あの雨の中の『おどれらいつも汚いのぉ!』
ある人物を仲間として認めていたからこその咆哮だとわかり
さらにその後のシーンは味わい深い、いいシーンだ
実際いたら絶対関わりたくない悪人なのは間違いないが
よくよく考えたら、誰かの為に暴れて、叫んで吠えた男
それが上林なんですよね
本当に魅力的なキャラでした
違いなく今年映画で出会った中で最高のキャラです

覚醒したタフすぎる男、日岡

上林が好き過ぎて彼の事ばかり書いてしまいましたが
松坂桃李さん演じる日岡も無論素晴らしかった
まず衝撃を受けたのは、3年前からガラッと変わった髪形だ
衣装合わせの際に松坂さんご自身が提案したそうで
飢えを表現するためにハングリー精神が垣間見える
見た目になった
実際、最初のビジュアルイメージが公開された時も
なにがあったんだ!?と衝撃を受けた
前作の時点で腕っぷしには覚えがあり
今作ではメンタルが成長した事により
化け物じみたタフさも兼ね備えた覚醒日岡
まさに狼である

二回見る事を想定した作り ※ネタバレ要素強め 

そしてこの映画、初見の時は
日岡の変貌ぶりと、上林のインパクトにもっていかれてがちだが
二人の活躍だけ見れば終わり、と言う映画ではなく
二回目以降の視聴というのもしっかり意識された作りで
その点では、見ていて楽しいのは日岡と組む事になる定年間近の刑事・瀬島だ
定年間近にとんでもない事件の捜査に参加することが出来たって
看板と並んでピースして記念写真撮るところとか
中村獅童演じる高坂と鉢合わせた時のリアクションとか
2周目以降見るとあ~ってなる感じのリアクションをしているおり
複数回観る際は是非とも注目したい存在だ

日岡は帰ってくる…

役者さんの話に行きがちだが
テーマ曲からなる音楽や上林の回想シーン等の絵的なこだわりとか
どのパーツをとっても邦画の中で最高峰
少しでも興味を持って性・暴力描写が問題ないという方には
是非見ていただきたい作品

また、今作は原作の間を埋めるように作られた作品で
公式でも続編制作決定のアナウンスがされており
これからも楽しめる作品なのは間違いなく
おすすめせざるを得ない一作だ!!

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