シン・エヴァンゲリオン劇場版:||【ネタバレあり】

★★★★

公開日  2021年3月8日
上映時間 155分
企画・総監督 庵野秀明
監督 鶴巻和哉 中山勝一 前田真宏
出演声優 緒方恵美 三石琴乃 林原めぐみ 宮村優子 立木文彦 石田彰 坂本真綾

ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは
コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。
旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。
復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中
ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。
一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた…。

映画.comより引用

debuwo評価 82点
おすすめ度  ★★★★(星4)

卒業式!

1995年に公開されたTVアニメ
『新世紀エヴァンゲリオン』の完結編
視聴者を置いてけぼりにしたシナリオ展開
ショッキングな内容が描かれた事で
話題を呼んだ過去作とは異なり
今まで明かされていなかった謎の解明
各キャラクターの救済など
面白い、面白くないというか
今まで作品を追ってきた人たちに対する
卒業式のような映画でした

第三村のシーンは大体好き

パリ市街戦以降描かれる第三村の日常パートはすごく好きでした
今までのエヴァンゲリオンとはまるで毛並みが違う雰囲気なんですけど

  • 大人になったトウジ・ケンスケ・ヒカリとの再会
  • のんびりとした第三村の雰囲気と展開
  • 黒波の成長物語

これらの要素があったからこそシンジは
今回の結末を見出せたと思えば
第三村こそがシン・エヴァンゲリオンの象徴たる部分なのかもしれません

ついでに黒波に関する勝手な考察

第三村で仲良くなった人たちに
黒波は可愛い服でも着ろと制服を着ることになり
黒波も結構気に入るんですが

翌日シンジに会うときはプラグスーツを着ている
あえて着ていなかったのは
これはアニメ・ゼーガペインの戦艦オケアノスの副司令ミナトが
黒タイツを履いていたのと同じ理由で
自分の肉体に何が起きているのか好きな人には見られたくないから
着れなかったんじゃないかなと
そう考えるとすごい切ない…

ロボットアニメとしては微妙

ロボットアニメの戦闘シーンは

  • パリ市街戦
  • ヤマト作戦
  • 初号機VS13号機

とありましたが
パリ市街戦以外は微妙な評価です

パリ市街戦

8号機β臨時戦闘形態のハンドル操作や
気持ちいいカメラワークはすごく楽しかった
また、ここで勝利した事によって手に入れった物資をみるだけで
わくわくがとまらなくなるストーリー展開も
掴みとしてはかなり良かったと思います

ヤマト作戦

ここがあまり好きじゃない
惑星大戦争のテーマから始まる
ヴンダーと同系艦による艦隊戦が
接待レベルの特撮ファンへのアピールで
正直うーんとなってしまいました
そりゃあエヴァと特撮は切っても切れない関係なのは百も承知ですが
エヴァが特撮をリスペクトしているのは
戦闘中にクラシックを流す手法や、設定を掘っていけば光の巨人など
行き着けば特撮になると、匂わすほどだったから良かったのであって
ここまで露骨だと、流石に媚び過ぎだろと思わずには入られませんでした

13号機停止を目標とした降下作戦は
新2号機の肩越し視点の適当さがひどかった
アマチュアが作ったCGかと思えるほどのクォリティだったと思います

特に画像のシーンは 新2号機が全く動いてなくて驚くレベル

あとコンテには『腕ユニット』と名称されていた兵器もひどかった
メタルギアライジングに出てた仔月光そのままやんけ!
エヴァンゲリオンMark.07もダサすぎて
今作はメカのデザインに関してはなんとも…

初号機VS13号機

ファンが一番期待したであろうこの戦闘シーン
かなりひどかった…
あえて簡素に作ったであろうCGともっさりしたモーション
技術的試行錯誤はあったのでしょうけど
こんな雑なコンテ段階の殺陣をみせられても…ってのが
正直な感想でした

懐古主義で申し訳ないが旧劇の戦闘シーンはやっぱりすごい

そんじょそこらのアニメであれば
戦闘シーンはそこまで酷評しなかったと思います
しかし旧劇という圧倒的な作画の戦闘シーンがあるため
どうしてもシンの戦闘シーンは褒めるわけにはいかないのです

あの重量感、暴力性をみせたシーンには
3Dモデルを使用した戦闘シーンでは勝てないと言う事なのでしょうか?
旧劇にもCGで加工してる部分は当然あるでしょうが…

とは言ってもクライマックスはアガる

多少戦闘シーンが微妙でも
世界観や設定の解明
散々つらい目にあっていたキャラの救済が
今作のメインなので
エヴァファンならここからアガるはずです

逆転ホームラン ミサトさん

Qで評価を大分落としたミサトさん
クライマックスでシンジの事をどう思っているか明かす所から
評価逆転、熱いものがこみ上げました
そこから髪をおろす彼女は
葛城艦長ではなく「ミサトさん」が帰ってきた感じで
本当に最高でした

エヴァの終焉を確信させた今回のカヲル

超越した存在として扱われていたカヲル
今回はシンジが成長したことにより
彼もまた救済すると手を差し伸べ
彼が受け入れた事により
全ての憂いを無くし終焉に向かう流れは
あ…エヴァ終わるんだ
本当に…
と提示されたような気がして
特に印象に残っています

惣流式波問題

捉えようは見てる人に任せられてるシーンですが
僕としては彼女は式波
ただし、シンジはその直後のカヲルとの発言を見るに
式波を通して惣流にも礼を言ってるみたいな感じだと思ってます
というのもガキ呼ばわりでは泣く
バカシンジと言っていたのは
宮村さんからするとどうとでも捉えれるようにした
観客へのご褒美らしいので

結論は各々持てばいいと思います

綾波は黒波とは違う方向性で可能性を見出して欲しかった

別の存在にも関わらず
綾波がツバメの人形を抱いて
黒波の真似事をして固執しているのは結構違和感ありました

どう進むのであれ、自発的に黒波とは別の方向性を見出して欲しかった感じです
あとつばめ人形が旧劇テイストなのが怖い…

ラストに関して

で、旧劇ほどではないにせよ
物議を醸したラストなんですが
個人的にはアリです
そもそも貞本先生の漫画版を始め
派生作品も数多にあるので
ここまで新設定、新キャラが追加されたのなら
旧劇に登場人物にこだわったエンディングになる必要も無かったのかなと思います
それこそPSP版のエヴァ2あたりをやっておけば幸せになれるのでは…と思います

予告詐欺は擁護出来ない

この作品で一番苦言を呈したいのは
本編に全く関係の無い予告編についてです
全く関係の無い次回予告は
正直勘弁して欲しかったですね

スケジュール通りに公開されていないのも
相まってちょっとイライラしたのが正直なところです
なんかこういうところに関しては
世間は庵野監督に優しすぎな気もしますね
そうはいっても上映されたら
好きだから見ちゃうんですけどね

続編について思う事

庵野さんの私小説としてのエヴァンゲリオンはこれで終わりますが
エヴァンゲリオンの名前を背負った派生作品は今後出ると思います
スタジオカラーの看板アニメで、これだけで終わらせる訳にも…っていうメタな見方と
すでに、作品として形になっている物があって

エヴァンゲリオン ANIMA

電撃ホビーマガジンにて連載されていた作品で
ifルート・人類補完計画を食い止めた世界の3年後を描いています
メカ好きな人にはたまらない追加装備や
原作とはまた違ったシナリオが描かれている作品で
ストーリーも完結している事もあり
映像化する可能性は高いと思います

Pevangelion:Another Impact(Confidential)

日本アニメ(ーター)見本市で公開された
荒牧伸志監督によるフルCGで描かれた
「別」の世界で起動したエヴァの、暴走と咆哮の物語

これらの作品が映像化・改めて制作される事も十分あり得るんじゃないかなと思っています

パンフレットにもあった続編へのおまじない?

あと、パンフレットにある緒方さんのインタビューを読ませていただくと
「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」
という台詞は、急に追加されて何度も取りなおした、とあります
本編でこの台詞が出るタイミングは
この台詞は本当にエヴァンゲリオンは終わるんだよ
っていうタイミングだったんですよね
だが待って欲しい
もう一つさよならについて語られるシーンがあるんですよね

ヒカリママの台詞から「さようなら」の意味は
深読みせざるを得ませんが
それについては生きていれば追々分かると言う事で
映画シン・エヴァンゲリオンはおすすめ!とさせていただきます!

おまけ アスカの訓練シーン

これストーリーとか全然関係ないオタク的なすきポイントなんですけど
アスカの訓練シーンが
CARっていうかどうみてもジョン・ウィックなんだよなぁ…

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