公開日 2025年10月24日
上映時間 120分
総監督 宇田鋼之介
監督 佐藤威 石田貴史
脚本 村越繁
キャスト 本渡楓 三石琴乃 田野アサミ 種田梨沙 河瀬茉希 衣川里佳 田中美海 宮野真守 小野大輔
ゾンビのアイドルは佐賀を、世界を救えるのかーー!?
公式サイトより抜粋
2025年、佐賀万博開催で盛り上がる地域。フランシュシュは万博のアンバサダーに起用され
メインイベントのSAGAアーリーナライブへ向けて準備を進めていた。
しかし、突如として巨大な宇宙船が佐賀上空に出現し、佐賀県全土を攻撃し始める。
崩壊するフランシュシュメンバーたち。ただのアイドルではどうにもならない…!?
debuwo評価 91点
おすすめ度 ★★★★★(星5)
ゾンビランドサガとは!!劇場版とは!!
2018年から放送された佐賀を舞台に
アイドルグループ「フランシュシュ」として活動する7人の少女たちの物語
しかし、少女たちは全員がすでに死亡しているゾンビィである。
劇場版ではシーズン2から4年経っており
フランシュシュは佐賀のアイドルとして活動し続け
人気を確固たるものとしており
ついには佐賀万博のアンバサダーに抜擢され
ますます勢いをつけていた
そんなさ中、突如として佐賀万博会場予定地に宇宙船が現れる
フランシュシュは侵略者の脅威から佐賀県を救うことができるのか!?
個性的なフランシュシュのメンバーとその関係者については
予習編をどうぞ!
劇場版として正統派な出来かつ見やすい
- 明かされなかった主要人物の過去
- 劇場版特有の既存キャラの新解釈キャラ(たえ)
- 宇宙からの侵略者モノ
- バトルシップ論調
- 新曲ライブ
アニメ劇場版として必須のものから
アイドル映画としてここは抑えてほしい所まで
満遍なく様子を抑えた作りは見事の一言
特に評価する部分はスピンオフ作品はあるものの
アニメ本編をみたままでは謎の人物であったたえを
ここにきて生前の人格を覚醒させ、まるで別人のような立ち振る舞いをみせたところだ
これによりテレビ版からの謎と劇場版の軸となるキャラの要素を抑えており
また、何のゆかりもない新キャラの為に力を貸すのではなく
彼女の為にフランシュシュのメンバーが命を懸けるのは
納得性のあるものになっている構成も素晴らしい

分かりやすく芸の細かいあらすじ
冒頭から流れるこれまでのゾンビランドサガのあらすじ
初見の人でも入り込みやすいように作られた
主人公さくらによるハイライト
これまでは本編映像で、これからは紙芝居で語られるのだが
紙芝居が実はフランシュシュのメンバーが描いたものになっている
順番はさくら・愛・リリィ・サキ・純子・ゆうぎり・たえ
この一枚一枚の紙芝居でも各人物像が見て取れる芸の細かさが
コミカルではあるが本気で作られているアニメであると確信が持てる
- さくら…何でもそつなくこなす彼女らしい可愛いイラスト、巽含めてメンバー全員描くのも彼女らしい
- 愛…アイドル研究家の側面も持つ彼女だが、イラストの研究まではリソースが避けなかったと思われる。だがイラストから幼いころからアイドルへの憧れが滲み出ているのが微笑ましい
- リリィ…自分の隣に特に仲の良いゆうぎりを描く、巽のきぐるみっぽい感じもイメージ通り
- サキ…この紙芝居でもしやフランシュシュのメンバーが描いてるのかと思わせるほどサキが描いた印象がわかりやすい
- 純子…折り紙使ったコラージュとシンプルながらキャッチーなデザイン性の高さ、そして令和の現代においてスチュワーデスという時代を感じさせる単語が純子さんらしい、そして可愛い
- ゆうぎり…文武両道で武芸もこなすゆうぎりさんは建築物の作画も嗜んでいた!ゆうぎりさんなら納得
- たえ…たえのイラストは三歳児くらいの画力にしたかったため佐藤監督の御年三歳の娘さんの絵だったりする
宇宙侵略モノとシリアス描写
アニメの時点で映画のオマージュ、パロディが散見される本作だが
劇場版では、インデペンデンス・デイやバトルシップなど
突如現れた宇宙人に蹂躙されるハリウッド映画的な要素も詰め込まれている
更にこれがメインストーリーになるというのだから
王道的展開ではあるものの
アイドルアニメの映画としてはかなり異色の内容となっている
さらに言えば侵略による破壊の描写も、直接的な人死に描写はないものの
かなり深刻なレベルで被害が出ているのも驚きだ

深刻な描写といえば、本編で遂にフランシュシュのメンバーが
フランシュシュのメンバーとしてゾンビィバレしたのも重要な描写だ
今まで見ず知らずの人間に偶然ゾンビィバレをしていくつかの事件があったが
そもそもフランシュシュのメンバーとばれていない
特殊な状況下と子供たちの純真さに救われるなどで事なきを得たが
今回のゾンビィバレはそれらとは異なり
フランシュシュのメンバーとして信頼された状態で
ゾンビィバレをして拒絶されているという事だ
ただのファンではなく、日常でも親交のある万梨阿が
尊敬するサキを拒絶した描写は短いシーンだがとんでもなく重いものだ
もはや尊敬どころか彼女のメンターといっても過言ではないサキでさえ
この有様となると、多くの人間がこの事実を知ったらどうなるか
化粧しなおしてから万梨阿とサキの親交は回復こそしたが
続編があるとすればこの辺りに焦点が当たるのではないかと思われる。

バトルシップ論調
バトルシップ論調とは筆者が名付けただけだが
万全の環境であればデメリット・時代遅れとなる兵器・存在が
特定の状況下では唯一無二の武器となる構造を読んでいる。
映画バトルシップ本編で電子機器を使用した現行の戦艦が
宇宙人の妨害により機能しなくなった状況でアナログな構造のミズーリ級戦艦が
反撃の要として機能したことからこう呼んでいる。
劇中の宇宙人はハリウッド映画「プレデター」シリーズよろしく
温度によるサーマルセンサーで人類を識別していた。
故に、体温を発しないゾンビィである彼女たちが
佐賀が反旗を翻す要となる展開は胸が熱くなった
また、佐賀万博の為に尽力していた佐賀県民たちの力を結集した
オペレーション・フランシュシュも
今までシリーズに登場した人物たち総出で立ち向かう様も激熱の展開。

- 純子のビーム発射…ウルトラマンエースのバーチカルギロチン
- ゆうぎりのバズーカの構え…映画デスペラードのギターバズーカ
- ゆうぎりのビームサーベルのポーズ…仮面ライダーBLACKRXの決めポーズ「一欠」
- 巽の金髪おかっぱ似非外人…ごっつええ感じのミスターベーター
- 泥によるセンサー回避…映画プレデター
胸が熱くなるといえばパロディネタも多かったのもポイントが高い
多くのパロディが荒唐無稽で偶然そう見えているだけなのに対して
純子さんのパロディはテレビを見て影響を受けたのが見て取れ
彼女が生きていた時期も考察すると感慨深いものがある

ライブシーンや楽曲
宇宙人の侵略を打ち破った後は
全世界に配信されるSAGAアリーナライブで〆られる。
本作のフィナーレであり、ファンへのご褒美とも呼べるシーンだ
「ChouChouture:SE」から始まるカウントダウン映像のアゲ感
メイン曲である悠久ネバーダイ、ラスト曲である瞬く宇宙に憧れてのクォリティの高さ
そしてそれらを背景に映るある人物のタイムリミットと
それらを踏まえた上でパフォーマンスを行うフランシュシュの面々
特に感受性の高いさくらが笑顔で迎えるラストは彼女の人間的な成長を強く見せている。
ゆめぎんがで披露していた冒険ズンドコドン!も
かなりポップな作りで子供受け前回のキャッチーさはポイントが高かった
ダンスの振りが簡単な構成で作られており
子供がまねしやすいのも見てて楽しい

既存の楽曲で使用されてポイントが高かったものといえば
やはり2期のメインテーマともいえる楽曲「REVENGE」の起用だろう
絶体絶命のピンチになった時、反撃のテーマとして使われた展開は
シリーズのファンとしてはニヤリとしてしまう。
続編や4DXについて
本作ではラストにマイクを拾うというシーンが描かれる
これは伝説的なアイドル山口百恵が引退コンサートで
ステージにマイクを置くという演出をしたことから
アイドル引退=ステージにマイクを置くというのが通説となっている。
それを照らし合わせてみれば、本作はマイクを拾っていることから
逆説的に終わりではないと取ることができる。
ここから先何を描くのかというのは気になるところだが
出るのなら見たいというのがファンの心情である。

4DXの鑑賞はいつかリバイバル上映されるのを待つしかないが
その時が来たときは要注意だ
歴代で見た4DX映画の中でもかなり揺れが激しい映画で
人によってはトップガン・マーヴィリックよりも激しい揺れと証言している。



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