公開日 2026年12月19日
上映時間 123分
監督 山下清悟
脚本 夏生さえり
キャスト 夏吉ゆうこ 永瀬アンナ 早見沙織 庄司更紗 入野自由 小林親弘
今より少しだけ先の未来。
公式サイトより抜粋
都内の進学校に通う17歳の女子高生・酒寄彩葉は、
バイトと学業の両立に励む超絶多忙な日々を送っていた。
日々の癒やしは、インターネット上の仮想空間<ツクヨミ>の管理人兼大人気ライバー(配信者)・月見ヤチヨの配信を見ること。
自分の分身を作り誰もが自由に創作活動を行う<ツクヨミ>で、彩葉はヤチヨの推し活をしつつ、バトルゲームで細々とお小遣い稼ぎをしていた。
そんなある日の帰り道、彩葉は七色に光り輝くゲーミング電柱を見つける。
中から出てきたのは、なんとも可愛らしい赤ちゃん。
放っておけず連れ帰ると、赤ちゃんはみるみるうちに大きくなり、彩葉と同い年ぐらいの女の子に。
「あなた、もしやかぐや姫なの?」
大きくなったかぐや姫はわがまま放題。
かぐやのお願い(わがまま)で彩葉は、ツクヨミでのライバー活動を手伝うことに。
彩葉がプロデューサーとして音楽を作り、かぐやがライバーとして歌うことで、
二人は少しずつ打ち解けていく。
かぐやを月へと連れ戻す不吉な影が、すぐそこまで迫っているとも知らずに—
debuwo評価 80点
おすすめ度 ★★★★(星4)
オタク文化を取り入れたタイムループ竹取物語
- VTUBER・ストリーマー
- AI
- ボカロ・歌い手文化
日本人なら誰もが知っている竹取物語をベースに
平成、令和のオタク文化をふんだんに取り入れた
宇宙人と女子高生ライバーのサクセスストーリー
ネットフリックスで配信され
2026年2月20日にわずか19館の小規模で劇場公開を開始したが
驚異的なヒットを記録し
3月13日より全国100館以上での拡大公開(全国拡大)へ切り替えられ
ロングヒットを続けているヒット作である。

オタク的コミュ力の映画
話の大筋となる
彩葉・かぐや・ヤチヨの三人からなる
時空すら超えた物語はエモーショナルで
12モンキース的な決して事象を覆らせれない展開と
それらを踏まえた上での結末はとても素晴らしい
また、VTUBER・ボカロ・オタク文化へも造詣が深く
得意な分野に関しては素晴らしい出来栄え
だが逆に、家族愛や常識的なコミュニケーションなど
人の心を掴むのにおいて重要な部分はおざなりで
作りての得手不得手がはっきりとわかる作品で
実にオタク的な作品といった所感だ。

ファンタジー貧乏
主人公、酒寄 彩葉
文武両道、才色兼備なのは構わないが
苦学生ぶりはあまりにもファッションが過ぎており
辛いアピールをされる度に呆れてくる
彩葉のキャラ付け、親野と確執と言うアングルを作る為の設定だろうが
貧しさに対する見識の薄さがこの作品の良い所を明確に足を引っ張っている
- VRを十分に楽しめるスペックを持つノートPCを所持
- ヤチヨのライブをいつも見に行けるほど推し活を優先できる
- 部屋にありったけのエナドリ
- 自分勝手な理由で奨学金を借りている
- やってるバイトはカフェ店員のみ

自己満足で始めた貧乏生活も完全な自立という訳でもなく
どこが貧しいんだと突っこみたくなる充実した娯楽
バイトもハードな労働とは言い難いカフェ店員
高校生が就業できる時間、彼女の勉強の時間
さらに推し活や娯楽の時間を加えると
寝る間を惜しんだとて、とても生活費は稼げない
リアリティに重きを置く作品でないとはいえ
もう少しリアリティを追求して欲しい部分だ
ワンルームの昭和を感じるアパートに住めば
奨学金を借りていれば貧しいという発想が
煽っているように読めて申し訳ないが
原作の方は育ちが良く順風満帆なのだろうなと思わされる。
また、奨学金を借りる内容としても
このような背景で気軽に貸してくれるという発想も
そういう状況に立ったことがないというリサーチ不足を思わせる。そのようなことを詳しく知っているよりかはマシなのは間違いないが…
どれだけ見繕っても毒親
筆者が本作で最も気に入らない部分は母親「酒寄 紅葉」である。
一般的に見て天才肌の彩葉からみても超人と断言するとんでもない人物
彼女自身、幼いころに両親に捨てられ、兄弟の面倒を見ながら
京都大学法学部に進んだという苦労が多い経歴を持つ事から
とんでもない超人なのは間違いないが
それは彼女個人としての評価であり、親としては落第点だ。
能力が人並外れていたことと
自分がつらい状況から立ち上がった事から
同じくらいの負荷をかけるのは当然と思ってしまった
高い能力で人格が歪んでしまった典型的な人物である。

- 一番じゃない気が済まない思想を娘に押し付ける
- 親子喧嘩で家出した娘を放置
- それらの行いを作中で咎められることが一切ない
劇中でもかぐやにありえない親として突っ込まれてはいるものの
彼女の行っている振る舞いは親子仲が悪いなどという範疇に収まらず
立派なネグレクトであり、諍いがあった程度で済ませてよい内容ではない
ちなみに本編では彼女は誰からも糾弾されておらず
癖は強いが言ってることは悪くない風潮まである。
このような脚本から能力が高ければ正しい、歪んでいても許される
という能力至上主義が透けて見えるようだ。
映画の登場人物はモラリストである必要はないが
歪んだ人物像と聖域化されているような扱いが
鼻持ちならないか、許されるかどうかは別の話だ

もう一つの歪み
母と同じく独善的な人間といえば兄・酒寄朝日だろう
人の心の機微を分かったつもりで立ち振る舞っている分
人によっては彼の方が鼻持ちならない人物なのも納得で
- 父が亡くなり男手が亡くなった一家から離反
- 成功したから許されているデリカシーのなさ
- わかってます俺みたいな立ち振る舞い

まず母と妹の事をほったらかしにして
プロゲーマーを目指すと上京する身勝手さは
あの母にしてこの子ありといった感じが否めない
特に幼い彩葉をほったらかしにすることに何の抵抗もなかったのだろうか?
あまつさえ、放置してしまった妹のパートナーを
ナンパ、プロポーズする神経はいかれてるの一言
どの面下げてそんなことを言おうと思ったのか理解に苦しむ。
ストーリー終盤、彩葉かぐやの為に
社会的なリスクも負って戦うが
そうなる前に普段の立ち振る舞いを見直すべき男である。

合戦シーンが分かりにくい
映像的な面でよくなかった点でいえば、劇中で繰り広げられる
MOBA形式のゲーム【合戦】が分かりにくいのは本作の明確な欠点の一つ
劇中で何が起こってるのかわかりにくいうえに
勝負を決するのが今まで全く出たことがないギミックで逆転勝利
物語の構造として全くカタルシスのない作りになっており
明確な作りこみ不足を感じる部分であった。
もっとシンプルに殴り合ってライフゼロのチームバトル形式にすればよかったのでは
と思わざるを得ない
いくら映像がきれいでも何をやるゲームなのかさっぱりで
遊びの気持ちよさを全く感じれないのは×

※MOBAとは
Multiplayer Online Battle Arena
チーム戦で敵陣地の本拠地を破壊し合う、戦略性の高いオンライン対戦アクションゲームジャンル
ライブシーンは格別
なんだかんだ叩いてはいるが
本筋となるストーリーともう一つの売りであるライブシーンは出来が素晴らしい
①星降る海
序盤でヤチヨがライブで歌う楽曲
映像の美しさで目を奪われるが
2回目の視聴でこの曲はヤチヨが明確に誰かに向けて書いた
ラブソングであることがわかり、ハンドサインも◎
②ワールドイズマイン CPK! Remix
ボカロ曲としてトップクラスにメジャーな楽曲で
世界で一番お姫様という歌いだしは余りにも有名。
ボカロ曲世代に刺さる曲であると当時に
単純な名曲、懐メロとして引っ張り出されたわけでなく
歌詞に合わせてヤチヨとかぐやの彩葉へのアプローチとジェラス
原典となるかぐや姫とかけているところや
ヤチヨに【私を誰だと思っているの?】という歌詞を当てる点など
演出家のセンスが光る構成だ
③ray 超かぐや姫!Version
EDで起用された楽曲
BUMP OF CHICKENが初音ミクとコラボで発表した楽曲「ray」をカバーしたもので
プロモーション以外にも歌詞を読み取ると
本作コンセプトの中核にあった楽曲なのは間違いない
久遠の時を超えたエモさは確か
母や兄、ファッション貧乏など鼻持ちならない処はあるものの
大筋のストーリーは魅力的であるし、ライブシーンの美しさ
これからも楽しい日々は続く的な演出も素晴らしい
アイドルアニメ映画としては素晴らしい出来栄えだが
実写も含めたあらゆるジャンルの映画で
傑作と呼べる部類かといえば少し厳しい…
とはいえ、この映画が最推し!という人がいるのも納得できる作品でもある。
制作陣の次作品への期待は高い


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