公開日 2025年7月25日
上映時間 115分
監督 マット・シャックマン
脚本 ジョシュ・フリードマン ジェフリー・ギャプラン
キャスト ペドロ・パスカル ヴァネッサ・カービー ジョセフ・クイン エボン・モス=バクラック ジュリア・ガーナー ポール・ウォルター・ハウザー ラルフ・アイネソン
宇宙ミッションのさなかに起きた事故で特殊能力を得た4人は
映画.com様より引用
その力と正義感で人々を救うヒーローチーム「ファンタスティック4」として活躍している。
世界中で愛され、固い絆で結ばれた彼らは
スーの妊娠という知らせを受けて、喜びに包まれる。
しかし、リードのある行動がきっかけで、惑星を食い尽くす規格外の敵
宇宙神ギャラクタスの脅威が地球に迫る。
滅亡へのカウントダウンが始まる中
ヒーローである前にひとりの人間として葛藤を抱える4人は
世界を守るために立ち上がる。
debuwo評価 80点
おすすめ度 ★★★★(星4)
筆者によるレビュー動画!
60年代レトロフューチャーと家族愛が織りなす、MCUの異色作
MCU最新作『ファンタスティック・フォー:ファーストステップ(以下F4FS)』は、
1960年代のレトロな世界観とファミリードラマを軸に展開する、異色のヒーロー映画だ。
アース818という既存のMCU(※アース616)とは異なるバースで生まれたヒーローの単独作であり
前知識なしで楽しめる親子、ファミリー向け作品としては申し分ない完成度だが
シリーズ全体の流れや公開タイミングの影響もあり
ややパンチ不足に感じる部分も否めない。
とはいえ、世界観の作り込みやキャラクターの魅力は光るものがあり
MCUの中でも独自の立ち位置を築いている。

レトロフューチャーと純朴なヒーローたち
F4FS最大の魅力は、1960年代から技術革命を起こしたアース818という世界観だ。
ブラウン管ディスプレイ、磁気テープ、2眼レフカメラなど
レトロ好きにはたまらないアイテムが満載。
ジョニー・ストームが使うゴールドディスクは、
ボイジャーのゴールデンレコードを彷彿とさせ
オタク心をくすぐる演出も抜かりない。

キャラクターたちも、現代のMCU作品よりも純朴で爽やかな印象を受ける。
ジョニーやシングのシットコム的な掛け合いは
80年代以前の皮肉を抑えた軽快なテンポで描かれ
ワンダ&ヴィジョンで見せた監督の時代考証力が光る。
特にエンディングのベビーシートのくだりや
BGM「The Ted Gilbert Show」が醸し出す心地よさは
ファミリードラマとしての完成度を高めている。

そして忘れてはならないのが、サポートメカのハービー。
磁気テープを顔に見立てたユニークなデザインは
レトロフューチャーの象徴とも言える存在だ。
説明書を読みながらベビーベッドを組み立てたり、フランクリンをあやす姿は
ポンコツながらも愛嬌たっぷり。
懐かしさと洒落感を絶妙に両立させたデザインは、脇役ながらも強烈な印象を残す。

ギャラクタスの描写──尊大さと物足りなさ
宇宙の法則を司るコズミックビーイング
ギャラクタスの登場は本作の大きな見どころのひとつ。
デザインは現代的にブラッシュアップされ、威厳と存在感は十分に感じられる。
しかし、惑星捕食の描写がやや分かりづらく
マイケル・ベイ的な「何が起こっているのか分からない」映像に近い印象を受けた。
もっと直接的で、地球の土を美味しそうに食べるくらいの演出があってもよかったのではないか。

また、スー・ストームとの戦闘では、ギャラクタスが数分間パワー負けする描写があり
マーベル宇宙の概念的存在であるコズミックビーイングとしての格を疑ってしまう。
ワンダやエゴ、ヘラ、ドルマムゥなど、アース616の強敵たちと比較しても
ギャラクタスの強さが描き切れていない印象だ。

一方で、ギャラクタスの使いであるシルバーサーファー(女性型)は
人物像の落とし込みが見事で、公開前の不安を払拭するキャラクターだった。
原作でも稀な女性型サーファーの登場は、今後の展開にも期待が持てる。

公開順とMCU疲れ──パンチ不足の背景
F4FSの最大の問題は、公開のタイミングだ。
作品単体としては一定の満足感があるが
MCUマルチバースサーガの流れの中で見ると、驚きや新鮮さに欠ける。
家族愛というテーマは直近の『サンダーボルツ』で扱われ、
コズミックビーイングとの対峙は『エターナルズ』
マルチバースは『ドクター・ストレンジ/MoM』など
強く押し出すには既存作品と重複している要素が多い。
とは言えエンドゲーム以降
露骨な拝金主義のドラマ展開とポリコレ
現場を省みない制作スケジュールでストーリー展開、映像のクォリティどれも
右肩上がりなの現状
しかし、全盛期のクォリティを常に求められる非常に苦しい現状で
正当な評価をしろと言うのも難しい

しかし、もしこの作品が『エンドゲーム』直後や
『スパイダーマン:NWH』のタイミングで公開されていたら
マルチバースの存在に懐疑的だったファン層に強烈なインパクトを与えられたかもしれない。
そう考えると、F4FSは「タイミングに恵まれなかった作品」と言えるだろう。
続編への布石──ドゥームの影
エンドクレジットで唐突に表れる大物ヴィラン・ドクタードゥーム
実は本編で登場しないことでその存在を既に仄めかしている。
物語の中で、スー・ストームが代表を務めるフューチャーファウンデーションのイベントに
唯一参加していない国家「ラトベリア」が登場する。
ここはドクター・ドゥームが国王を務める国であり、
彼とリード・リチャーズの因縁は原作でも有名だ。
続編ではこの関係性が深掘りされる可能性が高く
MCUの新たなフェーズへの布石として注目すべきポイントだ。

総評:惜しみつつも、光る個性
『ファンタスティック・フォー:ファーストステップ』は、MCUの中でも異色の作品であり
レトロフューチャーな世界観とファミリードラマの融合は新鮮で魅力的だ。
しかし、公開順やMCU疲れといった外的要因が足を引っ張っているのも事実。
とはいえ、キャラクターの描写や続編への布石など、
今後の展開に期待を持たせる要素も多く
ファンとしては見逃せない一作だ。個人的にはリードリチャーズがとんでもないやらかしをしないか
結構心配であり楽しみでもあります…

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