とんかつDJアゲ太郎【ネタバレあり】

★★★★

公開日  2020年10月30日
上映時間 100分
監督 二宮健
脚本 二宮健
原作 イーピャオ 小山ゆうじろう
出演 北村匠海 山本舞香 伊藤健太郎 伊勢谷友介 池間夏海 ブラザー・トム

テレビアニメ化もされたイーピャオ、小山ゆうじろうの人気ギャグ漫画を北村匠海主演で実写映画化。
渋谷の老舗とんかつ屋の3代目・アゲ太郎は
弁当の配達で初めて足を運んだクラブで憧れていた苑子に出会う。
キャベツの千切りばかりの日々を送っていたアゲ太郎は
音楽でフロアを盛り上げるDJたちのプレイに刺激を受け
これまで味わったことのない高揚感に心を動かされる。
苑子のハートを射止めるため、アゲ太郎は
とんかつ屋の仕事もDJも精進し豚肉もフロアもアゲられる「とんかつDJ」 になることを決意する。

映画.comより一部引用

debuwo評価 78点
おすすめ度 ★★(星4)

正直侮っていましたすみません!

エキセントリックな名前と原作の画風から
所謂、出オチ映画だろと思ってましたが
最後までみれば途中までの評価から一転
仲間たちと共に成功を掴むストーリーはまさに王道!
クリスピーさを感じる小気味よさと
しっかりしたストーリーがジューシーな
おいしいとんかつのような良作でした!

前半の出オチ感は否めない

とはいえ、序盤のDJとは何たるかを勘違いした
イロモノでしかないとんかつDJアゲ太朗
共感性羞恥を刺激してくる感じが若干キツいものがある
楽しい雰囲気は出てるんですが…

しかし、その中でも地元の友達とDJ機材を制作していく様と
アゲ太朗がクラブに天国を見出したシーンは
終盤までの伏線として非常に良いものになっているので
序盤はなんとか乗り切って欲しい…!

それにしてもDJオイリー演じる伊勢谷さんが
『しぶかつ』のとんかつをキメる…もとい食すシーンは
今考えると何とも言えない光景ですね

アゲ太郎の挫折を機に映画の様相が変貌する…!

アゲ太郎がオイリーの紹介でイベントに初出場するまでは
タイトルや同じ感じの出オチ映画なんかと思いきや
イベントで大失敗をしてしまうシーンを機に
この映画が真の姿を見せ始めます

後の為に必要な挫折のシーンみじめさ

初のイベント失敗シーンに好感が持てるところは
アゲ太郎に妙なフォローをいれずにしっかり心をブチ折ってるところ
同世代でありながら天才的なDJであるYASHIKIに
フォローしてもらったとはいえ、才能の違いをみせつけられたり
師匠であるオイリーもアゲ太郎を紹介した責任を取る形で
クラブ『WOMB』を出禁になったりと散々な目にあいます
昨今ではこういう描写は雑に次のシーンに切り替わることが多いが
この苦痛こそがカタルシスを起こす為に必須であり
イロモノコメディから成長物語へと評価が変わるファクターなのだ

よくよく考えるとYASHIKIくんメチャいい人

挫折からの復帰

まず心が折れたアゲ太郎を立ち直らせたヒロインの苑子ちゃん
一見、おしゃれな服飾関係の仕事で
何不自由なく華やかな人生を送っているように見えて
実は毎日ミスって怒られても、それでも胸を張って頑張ってると
笑顔で言えるバイタリティー溢れる女性ですごくよかったですね
可愛くてメンタル強くて心優しいって究極すぎる…

父の教えで精神の成長

次に父・揚作とのとんかつ調理を絡めた対話
『失敗した時の感情を忘れるな』という
大体の映画は失敗した経験は
すぐに忘れろ、臆するな等、払拭させることを前提に話しますが
この映画ではそういう経験こそ大事にしろというスタイル
珍しい切り口で非常に印象に残ります

幼馴染たちと共に行く再起

そしてクラブ『WOMB』で行われるコンテストの参加権を
土下座してまで手に入れてくるアゲ太郎の幼馴染たち

  • アゲ太郎のDJ活動に助力
  • 自分たちもパフォーマーとして努力する
  • ちゃんと仕事してる

彼ら自己評価低いけど、とんでもなくスペック高くて
なによりいい奴過ぎるんだ
こんな奴らが一丸となって困難に立ち向かうとなれば応援したくなる

とんかつアンセムのぶちアゲ具合は最高!

そしてクライマックス
とんかつを調理する音のみで始まる『とんかつアンセム』
楽曲の小気味よさとダンスパフォーマンスが
とんかつとクラブミュージックの融合に圧倒的説得力を持たせている!

  • 幼馴染たちのパフォーマンスの楽しさ
  • 思わず乱入してくるYOSHIKIくん
  • それを見守る苑子ちゃん、オイリーとアゲ太郎の家族たち

これまで映画を構成した全ての要素が集約し
場内が盛り上がっていく様はまさに天国

ピークの時に達した時にアゲ太郎がチョイスする曲も秀逸!

そしてコンテストの形式的な結果はともかく
最高潮までアゲにアゲた一行は
今度はしぶかつでとんかつを振舞うのです!
クラブもとんかつも
アゲれる男になる!

アゲ太郎が成し遂げた誰もが納得する成長はもう素晴らしいの一言
気持ちよすぎるラストに僕もアゲられちまったよ…!

おまけ 楽曲からみる
   『とんかつDJアゲ太郎』

ブルーノ・マーズをはじめ、67曲もの名曲をふんだんに使った本作は
実は音楽映画としてはかなり豪勢な映画なんじゃなかろうか?

  • ブルーノ・マーズ “Runaway Baby”
  • マルーン5”Sugar”
  • ケミカル・ブラザーズ”Star Guitar”
  • ザ・ナック”My Sharona”
  • ベリンダ・カーライル “Heaven Is a Place on Earth”

これらの有名どころに加えShingo Suzuki氏の本作オリジナル曲

  • “Juicy & Crispy”
  • “とんかつアンセム”

これらの楽曲も負けず劣らずのクォリティで素晴らしいので
興味を持った方は是非聞いていただきたい!

おまけ 演者のやらかしについて

蓋をあけてみればかなりの良作だった本作
もっと大々的にメディア展開してもよい作品だと思いますが
あえて内容は伏せますが演者のやらかしで
何かと曰くつきの作品でもあります

まずもって地上波での放送は厳しそうですね…

正直に言うと、そのような事象が起こった場合
作品には罪がないと言いたいのですが
起きた事件によってはそうも言ってられない時もあると思います
とんかつDJアゲ太郎に関しては
それらも含めた上でこの作品が埋もれるには惜しいと思うので
記事にさせていただきました

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