マトリックス レザレクションズ【ネタバレあり】

★★★

公開日  2021年12月17日
上映時間 148分
監督 ラナ・ウォシャウスキー
脚本 アレクサンダー・ヘモン デヴィット・ミッチェル
製作 ジェームズ・マクティーグ
出演 キアヌ・リーヴス キャリー=アン・モス ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世 ジェシカ・ヘンウィック ジョナサン・グロフ ニール・パトリック・ハリス

もし世界がまた仮想世界[マトリックス]に支配されていたとしたら?
ネオ(キアヌ・リーヴス)は、最近自分の生きている世界の違和感に気付き始めていた。
やがて覚醒したネオは、[マトリックス]に囚われているトリニティーを救うため。
何十億の人類を救うため、[マトリックス]との新たな戦いに身を投じていく

公式サイトより引用

debuwo評価 50点
おすすめ度 (星3)

18年ぶりの続編だが…

1999年に斬新な世界観、最新のVFXで一世風靡したマトリックスの最新作
過去3部作の続編としてブラッシュアップされている部分はあるものの
革命的な斬新さはなく
映画自体の様相は観客を含めた同窓会
シリーズの雰囲気は堪能できるが、当時のマトリックスほどのパワーはない作品
はっきり言うとシリーズのファン以外見ることをお勧めできない
俗にいう、親族以外お断り系映画

テーマはシリーズに忠実

  • トリニティが授かった予言
  • リローデッドでネオが選んだ未来
  • レボリューションズで二人が手を繋ぎ起こした奇跡

ネオとトリニティの絆・愛情は
マトリックスの根源的なテーマとして欠かせないパーツであり
今作はその要素がかなりのウェイトを占めている
パンフレットにあるラナ・ウォシャウスキー監督のインタビューを読んでも
そこに焦点を当てているのは明白であり
二人の愛の物語としては素晴らしい作品だ

アニマトリックスをみれば
納得のストーリーライン

また、二人の愛に関する機械側の考察や戦争の原因など
映画本編だけでなく、オムニバスアニメ『アニマトリックス』をみれば
納得のストーリーラインもファンであればうれしい要素

  • セカンドルネッサンス
    二人の愛に対する機械の考察・対応
  • マトリキュレーテッド
    今作で描かれる戦争の原因・要素

今作の大筋に沿った作品としてはこの二つをみていただきたい
※セカンドルネッサンスは過激な描写が多いので注意

新キャラについて

今作から登場する人物は皆、魅力的で
単純に世間の風潮に流されて行われたポリコレ配慮ではなく
ウォシャウスキー監督を始めとした制作陣の洗練された美意識を感じさせる

スミス

エージェントスミスから再構築、ブラッシュアップされた人物
ヒューゴ・ウィービングほどの貫禄はないにせよ
彼のスマートな男としての魅力は
前作では常に鬱憤を溜めていたスミスが付き物がとれた様と思えば納得の演技
ストーリーでの役割、細かな立ち振る舞い一つ一つが
今作における爽快感の担い手といっても過言ではない

バッグス

短髪で原色に染めた髪の色をしたサイバーパンクな出で立ちの彼女は
躍動的なアクションを行い、力強くかっこいい女性として描かれていた
彼女の洗練された肉体からなるアクションをみればわかるが
描かれる内容に違和感のない演者自体の説得力というのはやはり重要
名指しはする気はないが、かっこいい女性像を描きたい作品の数々は
このバッグスを参考の一つとして欲しい

ただ髪の色が現実(黒)⇔マトリックス(青)と変わるのなら
ある人物の眼鏡のように髪色に意味を持たせてほしかった

CGやアクションは微妙

  • ストーリー
  • 設定
  • 登場人物

これらの要素だけ見れば、決してつまらない作品ではないし
シリーズを追っているファンであればこれでいいという人もいるだろう
しかし、この映画は今までと比べて明らかに目減りしている要素がある

斬新なVFXやCG描写がない

クォリティが高いのはわかるが今では大して珍しくもないCGばかりで
バレットタイムや銃弾を止めるVFXを
1999年当時に見た強烈なインパクトが今作にはない
重厚な世界観や設定も素晴らしい
バレットタイムも過去作の映像も素晴らしい
しかし、観客がマトリックスに望んでいるのは
焼き直しではなく革新的な表現なのだ

ミスターマリックと化したネオ

  • 銃弾
  • ミサイル
  • 乗り物

終盤のネオが何をするにもハンドパワーで全て吹き飛ばす単調ぶりもいただけない
当時の力を取り戻しつつあるネオを描くにしても
それこそ過去作の焼き直しでもなんでも
多彩な見せ方をすればいいのに
ひたすらハンドパワーなのにはがっかり…

サングラス付けたら完全に一致しますね

制作陣の自虐について

劇中序盤で、ゲーム開発会社のスタッフが
過去作のマトリックスを模したゲームについて話すシーンで
マトリックスのドンパチ火薬アクションについて茶化しながら批判する
ある種の自虐と思われるシーンがありますが

それらも含めてマトリックスな訳ですし
それを期待していたファンもいたと思います
どうせ続編を作るなら、そういう中二病な所も受け止めて
コートの下に大量の銃を仕込んでいるネオとトリニティーを見せてほしかった
次回作が出るときは、そういう要素も検討して作ってほしいものです

この調子でラナ・ウォシャウスキー監督が映画を撮るならマトリックスが関係ない
完全新規の真面目な映画をやった方がいいかもしれませんね

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