ヴェノム：レット・ゼア・ビー・カーネイジ【ネタバレあり】

公開日　　2021年12月3日
上映時間　98分
監督　アンディ・サーキス
脚本　トム・ハーディ
原作　デイビッド・ミッチェリニー
出演　トム・ハーディ　ウディ・ハレルソン　ミシェル・ウィリアムズ　ナオミ・ハリス　リード・スコット　スティーヴン・グレアム

「悪人以外を食べない」という条件で
エディの体に寄生した地球外生命体シンビオートのヴェノムは
食欲制限を強いられ不満を抱えながらも
エディとの共同生活をそれなりに楽しんでいた。
そんな中、ジャーナリストとして未解決事件の真相を追うエディは
刑務所で死刑囚クレタス・キャサディと再会する。
クレタスは猟奇殺人を繰り返したシリアルキラーで、死刑執行が迫っていた。
エディに対し異様な興味を示すクレタスは突如として彼の腕に噛み付き
その血液が人間とは異なることに気づく。
そして死刑執行の時、クレタスはついに
カーネイジへと覚醒する。
映画.comより一部引用

debuwo評価　５５点
おすすめ度　★★★☆☆(星３)

ヴェノムシリーズの続編

もめるエディとヴェノム
格上の同系ヴィラン
巻き込まれてキーパーソンになるヒロイン

ヒットした前作『ヴェノム』の
劣化焼き直しストーリー
エディとヴェノムのイチャイチャ映画としてはアリですが
映画として肝心な部分が雑
劇中の伏線に次ぐ伏線から
後続作品を見る為に用意した助走的な映画で
面白さはさておき
アイアンマン２と似た印象
結論としては

PVから見る映画のテーマ

予告編でHarry Nilssonの『One』がテーマ曲として起用されたが
この曲ざっくり訳すと
今は１人になっちゃったけど
２人でいるときは良かったよね～
って歌詞で
エディとヴェノムの関係性そのまんま
結局この映画のテーマは
エディとヴェノムの関係性萌えで
そこだけみれば確かに楽しい映画だった

設定が雑なヴィラン

しかしエディ・ヴェノムと比べて
殺人鬼クレタス・キャサディと
カーネイジの設定は雑だ
前作のポストクレジットで登場した時は
出血した指でエディを歓迎するメッセージを書く位には狂っていて
狂気をはらんだヤバい奴と思わせる風貌と
良い意味での不気味さがあった

しかし、今作で描写されるクレタスは
将来を誓った恋人がいるわ
その恋人との関係を引き裂かれるわ
幼少期の虐待をエディが記事にしなかった事を嘆くわで
凶暴で恐ろしい存在ではあるが
それには後天的な理由があり
演者が同じなのにも関わらず、前作の醸し出す狂気を感じる部分が全く無い…
いずれにせよ前作から監督変更による
解釈違いがクレタスの魅力を半減させているのは間違いない
エディを自分の記者として選んだ理由など
むしろセンチメンタルな一面すらある…

確かに異常者ではない…

カーネイジに対する疑問

さらにカーネイジは
解釈違いどころか設定すらあやふやだ
劇中でヴェノムがカーネイジと遭遇したとき
「まずい！あいつは赤い奴だ！」
と言っていたがこれはなんだったのか？
以前にも赤い個体がいたかのような発言だが
これ以降ヴェノムは赤い個体に付いては解説する事は無い

しかし安心して欲しい
公式のパンフレットにカーネイジが赤い事に付いて解説している部分がある
パンレットによると
宿主のクレタスが赤毛で
赤色を好んでいるから

それだけかよ！！
これに関しては推測の域を出ないが
実は赤い個体に付いて解説しているシーンはあったが
編集上の各シーンの取捨選択でボツになった………と思いたい…
しかしそうだったして、ヴェノムの台詞は何故残したのか疑問である
それにクレタスが金髪っぽいのもどうにかならなかったのだろうか？
適当に作ったのか、或いはやる気が無いのか…

実は公式パンフレットには
ウディ・ハレルソンのインタビューが無い
もしかしてこの適当さに嫌気が差して、コメントしたくなかったのではないかと邪推してしまう

整合性、カタルシスの欠如

カーネイジ
クレタスの人物像
エディが何故、虐待を記事にしなかったのか？

上記の今作独自要素が軒並みボロボロで
ストーリー的には駄作というのが正直な感想
特に虐待に関する記事は
エディが世間に公表すれば
クレタスの反応も変わってきたはずなので
ここを明確にしないのは不誠実と言いたい
脚本も携わったトム・ハーディとケリー・マーセルは
もうちょっと頑張って欲しい…

改善案

ストーリー構成や設定を活かすのは
苦手なイメージがついたサーキス監督だが
エディとヴェノムの痴話喧嘩や
教会での戦闘シーンなど見応えたっぷりで
映像美的な面では素晴らしかった
今回は脚本が前作からいる面子二人で
言いたい事が言えなかったのかもしれない
しかし、コントロールできて尚且つ優秀な脚本家がつけば
次作は名作も作れるのではないかと思います