公開日 2023年05月26日
上映時間 116分
監督 マイケル・B・ジョーダン
脚本 キーナン・クーグラー ザック・ベイリン
原案 ライアン・クーグラー
キャスト マイケル・B・ジョーダン テッサ・トンプソン ジョナサン・メジャース フィリシア・ラシャド
かつてロッキーが死闘を繰り広げた親友アポロの息子アドニス・クリード。
映画.comより一部引用
ロッキーの魂を引き継ぎ世界チャンピオンとなった彼の前に
刑務所から出所した幼なじみのデイムが現れる。
2人はかつて家族同然の仲間であったが、デイムはクリードの少年時代のある過ちによって18年間の服役を強いられ
復讐心に燃えていた。クリードは封印してきた自らの過去に決着をつけるべく
デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始する。
debuwo評価 70点
おすすめ度 ★★★☆☆(星3)
人気シリーズの三作目!だが…
- クリードシリーズ3作目
- スポーツ映画史上初のIMAX映画
- マイケル・B・ジョーダンが主演であり監督、そして来日
- シリーズ史上最高となる興収で全米ボックスオフィスランキング首位デビュー
公開直前、色んな話題が飛び交った作品
他ならぬ筆者も、イチオシのシリーズ最新作であり
期待値が高まっていた作品だが、蓋を開けてみると
過去のシリーズにはあまり見られなかった演出
今までのシリーズを矛盾させるかのようなストーリー
そして観客の予想をはるかに上回るおまけ要素に
多くのファンが困惑した作品
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ロッキー不在
本作の問題点はやはり
ボクサーとしての師であり、人生の恩師であるロッキーの扱いだろう
アドニスにとって重大な局面に立たされた状況を
2度に渡って手助けしてくれたロッキーを一言で済ませるのはあまりにも軽すぎる
過去2作で描かれた二人の絆はそんな物ではないはずだ
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劇中でデイムが『俺の教えを忠実に守っている』と話しかけるシーンがあり
アドニスもそれを肯定する素振りをみせるが
アドニスをプロのボクサーとして鍛え育てたのは間違いなくロッキー
前作、前々作をみれば誰の目にもはっきりわかるだろう
鶏を使ったフットワークの強化や、荒野でのインファイト特訓など
3のアドニスがそこに立っていられるのは間違いなくロッキーのおかげなのだ
スタローンと製作のアーウィン・ウィンクラーとの確執など
彼が出演できなかった事は色々な事情があるのだとしても
せめてロッキーの影響の大きさをデイムに語る必要はあっただろう
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アドニスの人物像が崩壊気味
ボクサーらしからぬ真面目さと育ちの良さ
ロッキーと闘病生活を共にするほど男気をもっていたアドニス
しかし、真面目にストーリーを読み取ろうとすればするほど
今作の彼は過去作とはかけ離れた人物となっている
共に幼い日々を生き延びたデイムを見捨て逃亡した後
自分の人生から彼の事を消し去った事を棚に上げて
デイムとの関係を危惧していたメアリーアンに『誰よりも大事な家族だった』と当たり散らす
少年時代はデイムと遊び回っていたのも加味すると
もはや一作目のアドニスとは別人とも言っていいレベルだ
百歩譲って過去に起こった事、過ちは仕方が無いにしても
如何にしてアドニスが心を入れ替えて
まともになったかはしっかり描くべきだった
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魅力的なキャラ
アドニスの株が下落する一方、新キャラのデイムは魅力的なキャラだった
ストーリーの都合上、アドニスへの復讐に舵を取ったが
ひとまずはアドニスへ歩み寄り、TPOも身なりを整える気遣いもできる人物だ
劇中では悪辣な計画、ラフプレイに走る一方で
少年時代の厳しい日々を忘れらないと呟く絶妙な表情は印象に残る
筋骨隆々の肉体と繊細な演技力
ジョナサン・メイヤーズが素晴らしい役者として納得のできる人物だった
故に惜しいのが、彼のファイトスタイルとその動機だ
デイムは、相手の弱点を容赦なく突くラフファイトを多用する
確かにデイムの年齢を考えればなりふり構わず闘う事は当然の事だ
しかし、彼はアドニスすら認める才能の男だ
アドニスはともかくとして、フェリックスは容易く倒して欲しかった
そのように描かれても納得のできる貫禄が勿体ない…
反則をするにしても、ロッキー3のクラバー・ラングのように
どこからともなく現れた存在ではなく、思い事情がある人物だ
反則を扱う事に対して彼なりの心象描写を入れてもよかったはずだ
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ファイトシーンは一長一短
ロッキー、クリードシリーズはボクシング映画である前に
ヒューマンドラマに部類する物だというのはもはや常識ではあるが
今作はマイケル・B・ジョーダン監督、IMAX映画という事で
試合シーンも話題となっていた
- アドニスVSコンラン
アドニスの引退試合にあたるこの試合は
急所を突いて相手がダウンする能力バトルマンガ的な演出と
絶妙なバランスで混ぜ込んでおり、スタイリッシュ且つ見やすいものだった
ちなみにこの試合でアドニスが着用していたトランクスは
カルト的人気を誇る日本のアニメ「AKIRA」モチーフである
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- デイムVSフェリックス
二試合目は拳でガードをこじ開け、隙間にアッパーいれる
はじめの一歩の燕返し演出が見受けられるが
デイムのラフプレーが印象が強すぎる
ヒットマンスタイルといい、真柴の影響が強く出ているのは言わずもがな
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- アドニスVSデイム
ドラゴンボールパンチの印象が強いが
互いが戦いながら過去の姿を想起させる描写や
リングが牢獄であり、逃避不可能で対峙する場である描写から
漫画「NARUTO」のナルト対サスケの最終決戦を強く意識したであろう試合
マイケル・B・ジョーダンの作家性と言えばそれで終わってしまうが
あまりにも抽象的すぎる無観客の描写は困惑したと言わざるを得ない
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あの名作漫画たちをリスペクトするなら…
初の監督作品として、マイケル・B・ジョーダンが
アドニスのように全力でこの映画成功させるために努力し奔走した事
自分の初監督だからこそ、如何に自分が影響を受けた作品をオマージュし
またそれらの作品に敬意を払っているのもわかる
今回はそれが面白さに直結していたかと言うと
決してそうではないのだが、それでも彼の作家性は認めるべきだろう
しかし、彼がこの映画を制作するにあたって最も敬意を払うべきなのは
NARUTOでも一歩でも、メガロボクスでもなく
師にあたるロッキーだろう
師に対する敬意を失わない事こそが
彼の愛する漫画の主人公達なのだから…
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新時代【SHINJIDAI】について
本編終了後、日本限定で公開されたオリジナルアニメ【SHINJIDAI】
マイケル・B・ジョーダンのナレーションから始まる
人類が火星に移住するほど遥か未来で、クリードの血筋を引く者たちが
ボクシングの試合でぶつかり合うというストーリーラインを描いた作品
マイケルがかなりのアニメ好きというので実現した作品だが
観客からすると、ロッキーから織りなすヒューマンドラマを見に来たのに
何を見せられているんだと叫ぶのは当然の帰結とも言える
筆者はマイケルと同世代で、エヴァなどアニメが社会現象になる様を見た世代だ
故に、アニメ的解釈で作りたいという気持ちは百歩譲って理解するが
現在から脈々と紡がれた血筋がクリードだけ
と言うのは如何なものだろうか?
それこそ新しい世代の【バルボア】【ドラゴ】が現れ
時代を超えて相まみえる事こそが【SHINJIDAI】なのではなかろうか?
いずれにしてもクリードの続編、監督マイケル・B・ジョーダンには
今作の反省点を活かして次に繋げていただきたい…
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おまけ
後にも先にも自分のミドルネームは
ブリーチの卍解(Bankai)から来ている
などと言うハリウッドスターは彼しかいないだろう
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偉大なる1作目のレビューはこちら↓
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