インディ・ジョーンズと運命のダイヤル【ネタバレあり】

★★★

公開日  2023年05月26日
上映時間 116分
監督 ジャームズ・マンゴールド
脚本 ジェームズ・バターワース
製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ ジョージ・ルーカス
キャスト 
ハリソン・フォード マッツ・ミケルセン フィービー・ウォーラー=ブリッジ カレン・アレン

考古学者で冒険家のインディ・ジョーンズの前にヘレナという女性が現れ
インディが若き日に発見した伝説の秘宝「運命のダイヤル」の話を持ち掛ける。
それは人類の歴史を変える力を持つとされる究極の秘宝であり
その「運命のダイヤル」を巡ってインディは
因縁の宿敵である元ナチスの科学者フォラーを相手に
全世界を股にかけた争奪戦を繰り広げることとなる。

映画.comより一部引用

debuwo評価 60点
おすすめ度  (星3)

シリーズ堂々の完結…!!

スピルバーグとルーカスがタッグを組み
1980年代ハリウッド映画を代表する人気シリーズ『インディ・ジョーンズ』

考古学者が世界の遺跡を探検して神秘に挑む冒険活劇
1~3作目は公開すれば初週は必ずボックスオフィス1位を取り
ジョン・ウィリアムスが手掛けたテーマ曲は誰もが口ずさみ
ハリソン・フォード演じるインディのかっこよさから
考古学者を目指すものまで現れだすほどの人気だった
そんなインディ・ジョーンズ5作目にして完結編となるのが本作だ
完結に関してはルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長が
『完結させる』とコメントしており
少なくとも、ハリソン・フォード演じるインディはこれで最後なのは間違いないだろう

有終の美のはずが…

2020年代、令和の時代にインディ・ジョーンズの続編を作ってくれたのは
全盛期を目にしたシリーズのファンとしてはありがたい
最新のAI技術も駆使して制作された40代インディもとてもかっこよく
歴史的遺物の為に世界各地を旅するストーリーラインも
まさにインディ・ジョーンズと言った感じだった
だが、今作のようなインディが観たかったかと言えば
幾らかのファンは首を横に振るのではないだろうか?

在りし日のインディのシーンはとても良かった

還暦を迎えたインディ

70代に突入したインディはもはや
ショーン・コネリーが演じた父・インディも超える年齢で
今まで通り冒険活劇に向かうのだが
序盤で描かれる1944年のインディはともかく
1969年のインディは所々のシーンでパワー不足が否めない

彼の右ストレートはもはや相手を倒すものでなく、一時しのぎの手段である…
しかし、本当に悲しいのはパワー不足ではなく
最後の聖戦で父・ヘンリーが鳩を使って戦闘機を落としたような
年を経た事で得たアドバンテージ、年の功が全くない事だ
最先端の技術を駆使して在りし日のインディを再現したのだから
比較として年を経て工夫して闘うシーンを描いて欲しかった…
また、肉体・知性だけでなく、精神面も彼は衰えており
自分の体にガタが来ていることをぼやき続けて
終盤、ある場所から帰還する事を拒んだインディは
過去作でどんな天変地異に見舞われても
当たり前のように帰路に着いた当時と比べるとなんとも物悲しくなる…

流石にちょっと頭を使ってほしい

ヒロインが×

フィービー・ウォーラー=ブリッジは今作のヒロイン、ヘレナ
インディーの旧友であるバジルの娘で
劇中ではインディが持つアンティキティラを探していた
亡き父の人生を狂わせた歴史的遺物を一体どのような理由で探しているのかと思えば
金の為だ
中盤以降はさも尤もらしい心情を吐露するが待って欲しい
そもそもインディがダイヤルを奪った彼女を見つけなければ
ダイヤルはオークションにかけられ売り捌かれていたのだ
序盤の彼女を見れば以降の行動を信用しろと言われても無理がある
人を騙し、金に汚く、アクションもキレがあるとはいえず
過去のヒロインほど、セクシーかと言えばそうでもない
女優に罪はないが、これと言った魅力が一つもないのが正直な感想だ

唯一、褒めるところがあるとすれば、終盤である人物に拳を叩き込んだことくらいだが
それはあくまで観客の代弁的行動だから良かっただけで
その場にいる人物なら誰でも良かったので
彼女だから良かったと言えばそうでもない…

マッツの扱いがひどい

無駄に扱いが良いヒロインに比べて
今作の悪役、マッツ演じるフォラーは何とも不憫なキャラだ
過去編では、成果物をインディに奪われ
追いかけるや、逆のようなギャグ漫画のような退場ぶり
現代では、まるで言う事を聞かない部下と
またしてもインディに翻弄される流れから
苦労人で25年前から心労が絶えない日々を送ってそうな所が
悪役なのに、なんだか同情してしまう
脂の乗ったマッツ起用が非常に勿体なく感じる悪役
もう少しかっこいい悪役として描いて欲しかった

マッツは良いんだよ…マッツは…!

それでも…!!

突っ込み所や、インディ・ジョーンズにそれは求めてねぇよ!
といった展開が矢継ぎ早に展開されていく作品で
過去作のファンは本作の多くの要素にがっかりし
若いファンが付くこともおそらくないだろう…
しかし…!

  • インディが走る列車の中で戦い
  • 虫だらけの遺跡に潜り込み
  • 鞭と鉄拳制裁
  • ジョン・ウィリアムスのテーマソング
  • サラーとの再会

辛口に叩き斬った本作でも
これらの要素だけで胸が躍ってしまったのも正直なところで
インディ・ジョーンズの偉大さは変わる事がない
思うところがあるにしても、それでも筆者はこう言いたい…!

ありがとう!
インディ・ジョーンズ!!

おまけ:過去作の登場人物について

いくら大人の都合で登場できなくなったとはいえ
わざわざインディの息子を戦死者にする必要があったのだろうか…
作品によってはシリアスな後日談が必要になる場合もあるだろうが
インディはそもそも007を引用元として作られたような作品で
重苦しい業を背負うような展開は不要ではないかと思う
それこそワイスピのポール・ウォーカーの様に
顔は出さずとも存在は確かにあるように描く事は出来なかったのだろうか

インディとマリオンなら今作のようなイベントがあらずとも
インディの素行にマリオンが愛想をつかして離婚調停中でもさほど驚かないし

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