公開日 2015年12月23日
上映時間 133分
監督 ライアン・クーグラー
脚本 ライアン・クーグラー アーロン・コビントン
原案 ライアン・クーグラー
キャスト マイケル・B・ジョーダン シルベスター・スタローン テッサ・トンプソン アンソニー・ベリュー フィリシア・ラシャド
自分が生まれる前に死んでしまったため
映画.comより一部引用
父アポロ・クリードについて良く知らないまま育ったアドニスだったが
彼には父から受け継いだボクシングの才能があった。
亡き父が伝説的な戦いを繰り広げたフィラデルフィアの地に降り立ったアドニスは
父と死闘を繰り広げた男、ロッキー・バルボアにトレーナーになってほしいと頼む。
ボクシングから身を引いていたロッキーは、アドニスの中にアポロと同じ強さを見出し
トレーナー役を引き受ける。
debuwo評価 100点
おすすめ度 ★★★★★(星5)
受け継がれる魂、新たな物語
1976年にスタローン自らが脚本、主演を務めた
無名のボクサーが人生をかけて世界チャンピオンに挑戦する様を描き
彼を一躍大スターにした名作『ロッキー』
それから40年の時を経て、引退しレストランを営む年老いたロッキーの元を訪ねてきた
親友・アポロの忘れ形見アドニスを主人公に、彼とロッキーの新たな挑戦を描いた作品
人生で挑戦する事、勇気をもって取り組むことの大切さを示した
筆者一押しの大傑作
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製作のきっかけもロッキー譲り
フルートベール駅で(2014年)サンダンス映画祭で公開され
フィルムメーカーとして駆け出したライアン・クーグラー
そんな彼がスタローンと面会する機会を得た時に企画を持ち込んだのが
クリード制作のきっかけとなる
当初は呆れていたスタローンだが、彼の脚本にのめり込んでいき
ロッキーシリーズを手掛けたプロデューサー、アーウィン・ウィンクラーの目にも止まり
遂に無名の若手監督はロッキーシリーズの最新作を任されることになる
普通に考えれば、ライアン・クーグラーの行動はあまりにも荒唐無稽だ
しかし、端から見ればあまりにも無謀な挑戦、それこそがロッキーの物語であり
映画人スタローンの生き方だ、ストーリーだけでなく作り手も魂を継承している
それこそがクリード チャンプを継ぐ男という作品なのだ
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現代的な表現
ロッキーの世界観こそ踏襲しているものの、本作は
若手のクーグラーらしい映像表現が散見する
ボクサーが登場する時にゲームのステータス表示の様な演出は
現代的でスタイリッシュ且つわかりやすいロッキーには無かった試みだ
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この表現はクーグラーがフルートベール駅で行っていたメールの内容を表示する演出を
ブラッシュアップしたものだと思われる
このような表現をする映画は一部あったが、クリードではブラッシュアップされたデザインと
ボクサーの情報という人物紹介を時短する工夫があり、より効果的だ
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昔ながらの演出も健在
ハンサムなブライアン(アドニス役)とスタイリッシュな演出は現代らしさを感じる映画だが
根っこの部分はロッキーシリーズの熱さ、泥臭さが宿っている
フィリーソウルで目を覚ましたら、数十㎞のロードワークをこなし
走る鶏を素手で捕まえ、鏡の自分とスパーリング
彼が紹介するスタッフ達と親交を深め
ロッキーにフィラデルフィア流を叩き込まれていく様は小気味よく
アドニスと共に、観客も試合へのボルテージが高まっていく
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初の公式戦
前半の見どころとされるアドニス初のアメリカでの公式戦
ロッキーに師事を受けてからの初試合でもある。
このシーンの醍醐味は何といっても
試合開始から試合終了までカメラが切り替わることなく
二人を回るようにして試合を魅せるカメラワークだ
カットが変わらない事による緊張感の持続と臨場感は
これまでのボクシング映画とは段違いの迫力だ
また、画面は時に追い詰められたアドニスが、悉くレオをいなす様子から
メキシコ時代では弱点だったフットワークの無さが
ロッキーとの特訓により克服されたというのも実に分かりやすく描かれている点も素晴らしい
また、フットワークと言えば、ロッキーも同じく現役時代では苦手な分野で
そこを補ってくれたのが他ならぬアポロ・クリードだというのも感慨深い所だ
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葛藤と決意、病の影
レオとの試合で勝利を納め、フィジーでのプロボクサー生活を始めるアドニス
しかしレオの父のタレコミにより
彼が伝説のボクサー、アポロ・クリード息子であることが世間に広まる
そこで舞い込んできたのが現ヘビー級チャンプ・コンランとのエキジビションマッチだ
クリード姓で出場すること、負ける事を恐れるアドニス
そんな彼をビアンカが「負けても気にするな、ボクシングが好きでしょ?」と叱咤激励する
さながらロッキーとエイドリアンのような関係だ
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コンランとの対戦に備えトレーニングと言う矢先に
非常な告知がロッキーに告げられる
治療からの快復する見込みはあるものの
エイドリアンをガンで失ったロッキーは治療は受けず
トレーナーに専念しようとするが動揺は隠しきれない
アドニスが治療のパンフレットを発見し、治療を勧めるも
ロッキーは動揺と心配かけまいという気持ちが混濁して
思わず冷たく突き放してしまう
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物心ついた頃から頼れる父がおらず、父のように慕っていたロッキーに突き放されたことで
アドニスは感情がコントロールできなくなり
ビアンカが出演するライブハウスで喧嘩を起こし逮捕されてしまう
留置所で再び話すアドニスとロッキー
思ってもいない事を言って傷つけてしまった事を謝罪し
憤るアドニスに他人を許す事、心の影を振り払うことの大切さを伝える
過去シリーズを見ていなくとも、スタローンの積み重ねた演技力により
これまでのロッキーがどのような人生を歩み、納得ができる深みがある名シーンだ
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どん底からの復帰
一度どん底を体験するアドニスだったが
フィリーのバイカーに応援されたのをきっかけに再起
ロッキーの元を訪ね、共に戦おうと持ち掛ける
ここからアドニスとロッキーの命を懸けた過酷な戦いが始まる
ロッキーの看病をしながら過酷なトレーニングをこなしていくアドニスの姿は
ボクシングの熱が籠ったレオ戦のトレーニングとは違い
生きる事に対する本能的な熱気を感じることが出来る
Lord Knows / Fighting StrongerをBGMに見せるランニングシーンの美しさは必見だ
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人生の肯定こそが勝利
いよいよコンランとの決戦
チャンピオン対地方の4回戦ボクサー
アポロとロッキーの初対戦を思わせるこの試合
アドニスはチャンピオンに喰らい付くも
遂にアドニスはクリーンヒットを受け、致命的なダウンをしてしまう
あらゆる人生の出来事が走馬灯として過ぎ去る中で
意識の底にあったのは何度も見たアポロの勇姿だった
受け継がれた戦士としての精神が奇跡的に意識を取り戻させ
なんとかコーナーに戻り、最後まで戦う事を決意するアドニス
自分の人生は決して誰かの過ちの産物ではないと証明しようとする
自分の人生に真剣に取り組む彼に誰もが心打たれる瞬間だ
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自らの人生を生きる事の尊さ
世界にはすでにあらゆる分野にレジェンド、ストーリーがあり
夢がある時代はとうに過ぎ去り、アーカイブ化されていく日々
youtubeを見れば、いつだって隆盛を極めた当時を懐かしめる
なのに何故、到底過去を超える事が出来ない挑戦を?
無謀だ、意味が無い、無価値だ
そんな事はない、何時だって自分を信じて挑戦し続ける
人生でやるか、やらないかでやる方を選ぶ
ただ生活するのではなく、自分の人生に目的をもって生きる
そんな人には是非ともお勧めしたい不朽の名作だ!
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