公開日 2022年10月21日
上映時間 179分
監督 S・S・ラージャマウリ
脚本 S・S・ラージャマウリ
キャスト N・T・ラーマ・ラオ・Jr. ラーム・チャラン アジャイ・デーブガン アーリアー・バット レイ・スティーブンソン オリビア・モリス アリソン・ドゥーディ
1920年、英国植民地時代のインド。
映画ドットコム様より引用
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビームと
大義のため英国政府の警察となったラーマ。
それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが
互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。
しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになる。
debuwo評価 95点
おすすめ度 ★★★★★(星5)
圧倒的製作費で手掛けられた傑作
日本でも話題となったバーフバリシリーズのラージャマウリ監督が
実在するインドの偉人
コムラム・ビームとアッルーリ・シータラーマ・ラージュ
この二人を主人公とした架空の物語。
インド映画史上最高の製作費
7200万(約97億円)を掛けた超大作
その巨額に見合った圧倒的な迫力と
二人の使命と熱い友情、葛藤、決断を描いた傑作!!
インド映画の存在感を世界に知らしめる作品と言っても過言ではないだろう
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タイトルの由来
- Rise(蜂起)
- Roar(咆哮)
- Revolt(反乱)
本編でもあるようにこれらの頭文字が由来とされているが
元々は監督のラージャマウリ監督が
NTRJrとラーム・チャランと仕事をするという前提で
仮題として自分と二人の俳優の頭文字を取り
RRRと名付けたのが始まり
物語自体はイングロリアス・バスターズやモーターサイクル・ダイアリーズから着想を得て
人生にこんな友人が欲しいと思わせるような『友情を根底にした特別な物語』として作られた
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パワフルな決め絵の連続
本作の魅力は時に体一つ、時にCGを駆使しながら魅せる決め絵と
それに合わせて劇場に鳴り響く轟音のインパクトだろう
なぜこれほどまでに魅力的なカットが一つのみならず
十数分に一度はやってくるのか?
それはラージャマウリ流の制作工程に起因しているようだ
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ヒロイック・フレーム
①監督とコンセプトアーティストによるスケッチ
②照明、テクスチャを構成し、シーンを作成
③そこから中心となるヒロイック・フレームの選定
④ヒロイック・フレームを軸に本格的なシーン製作に入る
たった一つのカットを最大限に活かす前提の
このプロセスこそが本作を本作たらしめる要素なのは間違いない
各々のシーンがこれぞという『ヒロイック・フレーム』から作られているのだから
シーン毎にとんでもなくかっこいい決め絵が用意されているのは必然なのだ
しかし、その構造をしっかりと成立させているのは
ラージャマウリ監督の手腕があってこそだろう
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かっこよすぎる主役二人
魅力と言えば
N・T・ラーマ・ラオ・Jr.
ラーム・チャラン
主演二人にも触れなくてはならない
大義を秘めた炎の男
大義の為、イギリス領インド帝国の警察に所属し
どんな無茶な任務も粛々とこなす男、ラーマ
スタイリッシュに軍服を着こなし
いつでもビシッと決めたヘアスタイルはスマートさを感じさせる
現代的なかっこよさを身に纏っている
目的の為に人前では感情を押し殺しながらも
確かな熱を胸に秘め、時にその熱さを抑えきれずに放出する様は
スタイリッシュではあるが決して線の細い男ではなく
男が憧れるタイプの男なのだ物語っている
彼は思い過去から確固たる目的があり
その為に何が何でも出世する決意はあるものの
生来の優しさを捨てきれず、葛藤し叫び
最終的に体裁よりも良心を選ぶ性分も人間らしさも魅力だ
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ゴーンド族不屈の男
森の中、パンツ一丁の後ろ姿で登場し、狼を寄せ付ける為に血を浴びるビーム
狼どころか虎と対峙しても雄叫びを上げ、物怖じしない雄々しさは
純然たる男と言う性が持つ魅力を体現している
ゴーンド族の羊飼いとして、一族の娘マッリを必ず助けるという鋼の意思
その反面、都会であるデリーでは心優しく素朴な面も見せ
ある種のギャップ萌え的な要素も持つ
強靭な肉体・鋼の意思・心優しさ
広い世代に支持されるまさに主人公と言った感じの男だ
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進化するインド映画
インド映画と言えば要所要所で展開するダンスとミュージカルシーンだ
各地方によって数十種類に及ぶ言語が使用されるインドの風土と
直接的な恋愛表現が忌避されていた往年のインド映画の事情が合わさり
多くの人たちが一目でわかるキャッチーな求愛表現・心情吐露として使用される役割を持っていた
そんな役割を持つダンスシーンだが
本作ではさらに進化した使用方法が取られていた
ジェニーに招待された公邸パーティーで
英国人にダンスで挑発されたビームが
ラーマと共にインドのダンス『ナートゥ』を披露するシーン
このシーンは従来のインド映画のダンスシーンと比べると革新的で
求愛表現だけでなく、ストーリー進行に必要な要素として組み込まれている事だ
このダンスが無ければビームとジェニーの親交は深まらず
ラーマの人間性も表現しきれなかっただろう
別シーンとなるが、ビームのミュージカルシーンも同様だ
彼が声を上げ唄う事に必要性を組み込んだ演出となっており
2つのシーンを踏まえると、意図した構成だというのがわかる
RRRのダンスシーンは、インド映画として必要な要素でなく
本作のストーリー進行として必要な要素なのだ
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総督の強さ問題
本作の数少ない気になる部分として挙げるのが
スコット総督との闘いだ
ビームの処刑を阻止するために奔走するラーマを追い
彼が準備していたブービートラップにかかり
車から投げ出され宙を舞うが同じく投げ出された銃を手に取り
ラーマの車を宙に浮いたまま狙撃、一発で走行不能にする
ビームやラーマと比べても遜色がない超人ぶりだが
その最期はあまりにもあっけない
先の狙撃と演者のレイ・スティーヴンソンの貫禄から
主役二人掛りでやっと勝てる強さでも良かったのではと思ってならない
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とにかく映画館へGO!
総督の強さのムラについてつらつらと書きはしたが
そんな物は些細な問題だと言わんばかりのパワーがこの映画にはあり
この映画を余すことなく体感する意味でも
是非とも映画館での視聴をお勧めします!
2023年3月現在上映されている所も限られておりますが
今後もリバイバル上映されること必至の作品なので
リバイバル上映された時は是非!!
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おまけ:あっ…
本編序盤でビームとラーマが馬やバイクに乗ったり
いろんな所にお出かけ・行動を共にする
『デートシーン』がある
あまりの仲睦まじさにロッキー3のロッキーとアポロ
戦国自衛隊の伊庭義明と長尾平三景虎を想起した観客もいるのではないかと思われる
あ、そっかぁ…そういう事かぁ…
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“Lahari Music”をご存知か?
RRRのサントラを監修しているLahari Musicが
公式アカウントでダンスミュージックシーンを
なんと4K画質で投稿している!
いつでもナートゥを楽しむことが出来るぞ!!
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