公開日 2025年2月28日
上映時間 121分
監督 三木孝浩
脚本 登米裕一 福谷圭祐
キャスト 中島健人 milet 桐谷健太 中村ゆりか 八嶋智人 円井わん 眞島秀和 風吹ジュン 坂ノ上茜 小手伸也 野間口徹
大学時代に小説家志望の神林リクはミュージシャンを目指す前園ミナミと出会う。
公式サイトより引用
二人は互いに一目惚れして結婚。
8年後、リクは超人気のベストセラー作家となるがミナミは志半ばで夢を諦めていた。
そんなある日ミナミとケンカした翌朝リクが目覚めると
なぜかミナミは大スターでリクは小説家ではなくいち編集者という世界に。
更に二人は出会ってもいなかったのだ。
困惑するリクは元の世界を取り戻そうと奔走し
なんとかミナミに近づくが、彼女の隣には愛する人がいた――
debuwo評価 64点
おすすめ度 ★★★(星3)
成功しなかった世界線で、出会った“もう一人の彼女”
2025年2月に公開された『知らないカノジョ』は
売れっ子小説家・リクが、自分が成功しなかったマルチバースの世界に転移し
そこで出会った“知らないはずの妻”ミナミとの邂逅を描いた異色のラブストーリー。
序盤の設定や展開の面白さに引き込まれつつも
ラストの選択に思わず「ズコー!」と叫んでしまった人も多いのではないだろうか。

「愛していたのは誰?」疑惑しかない主人公の決断
異世界のミナミに関わろうとした理由は
元の世界の妻・ミナミに想いを伝えるためだと思っていたのに…
まさかそのまま異世界でイチャイチャ生活を始めてしまうとは…
元の世界で支えてくれた“妻のミナミ”への愛情はどこへ?

主人公リクの身勝手な行動は
愛する人のために多元宇宙に迷惑をかけるという意味で
MARVEL映画マルチバースの迷惑代表・ドクター・ストレンジを彷彿とさせるが
愛する人が別個体でもOKという軽さから
ある意味ストレンジをも超えてきた感さえあり、衝撃だった。
そして残された元の世界の妻ミナミや
入れ替わった編集社員のリクの消息は語られないまま…
この放置っぷり、もはや投げっぱなしジャーマンやん!

考察:最後にいた“ミナミ”は誰なのか?
物語の最後、リクが目覚めた世界にいたのは、元のミナミなのか?
それともアーティストのミナミなのか――。
どちらとも取れる描写が、まるで『インセプション』のラストのように観客に委ねられている。

だが、おそらくこれは異世界のミナミ。
明るく話しかける様子や、原作のフランス映画が転移先で終わることからもそう推察できる。
個人的には、元の世界に戻り
支えてくれたミナミに謝罪し、やり直してほしかったと感じた。

脇を固めるキャラはグッド
主人公リクの立ち回りは残念極まる反面
桐谷健太さん演じる先輩・カジさんの丁寧な描写が際立つ。
リクの心無い発言にも屈せず、誠実に彼を支え続ける姿は
むしろ「この人こそ報われてほしい」と感じさせる徳の高さだった。

金子ルミに関しては完全に巻き込まれた被害者ポジション。
リクが編集社員としてやりがい見つけるために育てた小説家で
リクがむやみに距離間を誤ってしまったため
関係が拗れてゴシップ雑誌にでっち上げられバッシングを受けるが
アーティスト・ミナミに固執するリクの態度など
彼女がゴシップをぶち上げたのも無理はない部分があり
痛々しくも納得してしまう。

また、田所哲斗の扱いもなかなか悲惨。
いけ好かない態度もあれど、リクのミナミへのかかわり方を見れば
田所がリクを警戒するのも当然
結論から言えば、何年も連れ添った恋人はポッと出のよくわからん男に奪われるという理不尽。
更におばあちゃんには何故か初見から嫌われている理不尽さ
浮気の一つでもしてればまだわかるけども…

ツッコミどころ満載だけど、クセになる魅力も
『知らないカノジョ』は、ラストの展開にはモヤモヤが残るものの
音楽(特にmiletさんの曲)や
魅力的なサブキャラたちの描写には光るものがあった。
ツッコみながら観るのが楽しい、そんな作品。
たまにはこんな甘酸っぱい映画
通称・甘酸(アマズ)映画をみるのもええもんです。

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