公開日 2025年12月19日
上映時間 123分
監督 ニア・ダコスタ
脚本 アレックス・ガーランド
キャスト レイフ・ファインズ ジャック・オコンネル アルフィー・ウィリアムズ エリン・ケリーマン チ・ルイス・パリ―
レイジウイルスのパンデミック発生から28年後…
公式サイトより抜粋
映画「28年後…」のラスト、
感染者の襲撃により窮地に陥ったスパイクは、
カルト集団ジミーズ〉に救われる。
だがそれは救済ではなく、
狂気と絶望に支配された地獄への入り口に過ぎなかった。
debuwo評価 71点
おすすめ度 ★★★(星3)
28年後トリロジーの2作目
前作の癒えなかったイングランドで
ジェイミー・スパイクの親子について描いた物語だった一作目
前作終盤、単身で村を飛び出したスパイクの危機を
ジミーズのリーダー、ジミー・クリスタルに助けられたところからストーリーが始まる。
スパイクとジミーズの接触から描かれる地獄絵図ともいえるジミーズの悪逆の限り
そして同時期に展開する前作で登場したケルソン博士とアルファ個体のサムソンの出来事
二つの事情が徐々に絡みだす様を描いた作品だ。
3部作の2作目で中継ぎ的な作品ではあるが
ケルソン博士のレイジウイルスに対する考察や展開
アッと驚くサプライズもあり
シリーズファンなら見ておくべき作品だろう

実質的な主人公・ケルソン博士
世界から見放され隔離されたイングランドで
感染、非感染問わず死者を弔い続け、ウイルスに対する研究を行い
訪問者のスパイク親子に対する振る舞い、尊厳死への意識から
28年間孤独に生きていたにもかかわらず
人間性を失わずに生きている様はやはり狂っていると言わざるを得ない
しかし、今作では彼の住処にある蓄音機や、写真から
彼がどんな人生を送っていたか想起させるシーンもあり
メインストーリーでもあるサムソンとの交流と治療も含めて
人間としての描写に深みが増し、彼の善性が如何に尊いかが描かれる
ただし、終盤でのある行動に対しての動機も含めて
やはり常軌を逸してる人物であるのは間違いない

α個体サムソン
α(アルファ)とは生物学的には群れを成すリーダーとして名付けられる名称で
感染者の中でも特に強靭に進化し知性までも備え
非感染者からすると最も驚異的な存在。
前作の島民の言い回しから、複数個体が確認されているようだが
本作では前作に現れた個体がそのまま登場している。
他の感染者と比べて知性があることは言うまでもないが
本作ではケルソンの予想を上回る知性を持っている様が描写されている。
- ケルソンを覚えている
- 本能を抑え、ケルソンとの接触を試みる
- モルヒネによる感覚のマヒにより、制御できる状況を望む
- 手土産を持ってくる
上記の内容はケルソンによる治療が行われる前から起こしている行動だ
仕留めた獲物の脳を食べている事も知性への渇望があるのかもしれない

ジミーズ
前作の序盤に現れた少年が大人になり
悪魔崇拝の元に率いている集団、それがジミーズだ。
全くの別作品だがマッドマックスシリーズのナイト・スラッシャーをはじめとした
無法者集団の系譜にある集団と言って過言はない
本編で描かれる悪逆の限りは全く持って同情の余地はないが
パイオニアであるクリスタルが生きる為の処世術として
このような思想に取りつかれるのも致し方がないと言わざるをえない
また、彼が自分よりも若い子を従え、恐怖政治による支配を行っていたことも
今までどのように生き抜いてきたのか経緯を察するにはあまりある。

ジミーズはサタニストなのか?
本作において、一つだけ批判したいことがある
それはケルソン博士が、ジミークリスタルの行ってきたことについて
「君はサタニストなのか?」という問いに対して
クリスタル自身が肯定的な意見を述べたことだ
無論、ジミークリスタルの思想が絶対的な悪で悪魔的な思想というのは理解できるが
原題では一つの宗教観、思想を持つ人間として使われる言葉である「サタニスト」問言葉を使うのはとてもひっかかるのだ
現実におけるサタニスト、サタニズムとは
では実際にはサタニストとはどのような思想で行動しているのか
下記の内容はサタニストの思想として有名な
「地上におけるサタニストの11のルール」という内容の引用だ
- 求められてもいないのに意見や助言を与えないこと。
- 他人が聞きたがっていると確信しない限り、悩みを話さないこと。
- 他人の住み処に入ったら、その人に敬意を示すこと。それができないならそこへは行かないこと。
- 他人が自分の住み処で迷惑をかけるなら、その人を情け容赦なく扱うこと。
- 交尾の合図がない限りセックスに誘わないこと。
- こんな重荷降ろして楽になりたい、と他人が声を大にして言っているものでない限り、他人のものに手を出さないこと。
- 魔術を使って願望がうまくかなえられたときはその効力を認めること。首尾よく魔術を行使できても、その力を否定すれば、それまでに得たものを全て失ってしまう。
- 自分が被らなくても済むことに文句を言わないこと。
- 小さい子どもに危害を加えないこと。
- 自分が攻撃されたわけでも、自分で食べるわけでもない限り、他の動物を殺さないこと。
- 公道を歩くときは人に迷惑をかけないこと。自分を困らせるような人がいれば止めるよう注意すること。それでもだめなら攻撃すること。
ご覧の通りである。
わざわざ筆者が執筆しているブログを読んでいただいている
良識ある読者の方がそのようなことをするとは毛頭思っていないが
本作における思想とケルソン博士の発言から
現実におけるサタニストに対して差別的な目を向けることがないことを
筆者は信じている。
スパイク君さぁ
本作で評価が大幅に下がった人物だ一人だけ存在する
それはスパイクくんだ。
前作の一連の出来事から自分が如何に保護された人間なのかは
身に染みてわかったにもかかわらず
本作でも受け身の被害者ムーブである。
クリスタルに歯向かうでもなく、悪に染まるでもなく
自分より大人の人間を見れば庇護を求める。
これが突発的な出来事であれば同情の余地がある。
しかし先にも書いた通り、彼は自らこの選択肢を選んだのだ。
子供だからと甘い目で見るにも限度がある。
前作から引き続き、彼が主人公として見た場合は
本作は残念な流れと言わざるを得ないが
彼は脇役でケルソン博士やサムソン、ジミーの物語とみれば
評価は大きく変わるだろう
筆者も実際のところ、そのような考察を説かれ
目から鱗が落ちたのだ

会うタイミングや流れが異なれば…
筆者にとって興味深いのはジミークリスタルがケルソンと遭遇したシーンだ
クリスタルが白骨の神殿の常軌を逸したデザイン性に驚愕する様は
狂人の振りをしていたならず者が本物の狂気を目の当たりにして
常人であることが露呈することが印象深い
そしてケルソンの正体を知った後のクリスタルとのやり取りも興味深い
ジミーズたちに見られてるとはいえ声が聞こえない事から
幼少期からケルソンにあった瞬間までを話す際の肩の荷が下りた口調と振舞は
どうしようもない悪人の彼だがレイジウイルスのバイオハザードがなければ
まともに生きれたかもしれない、彼も人間であるという部分が見れて印象に残る。
本作の監督ニア・ダコスタはパンフレットにて
このケルソンの治療も、クリスタルの宗教観も生きるための目的意志から生まれたもの
と、表明している点からも、生来の悪、コミックのヴィランではなく
生きる為にそういう思想になったという事が見てとれる
実際、前作冒頭の幼少期のクリスタルが置かれた状況をみれば
彼の価値観を壊れるには十分なシチュエーションだ

次回作に向けて重要なファクター
本作では、モルヒネによる鎮静化の限界と
レイジウイルスの症状による考察から
ケルソン博士が治療法に対して一つの結論が描かれる
次回作ではその結果による経過が大きくストーリーにかかわってくるかもしれない
そして、終盤にファンを驚かせる人物の再登場である。
3部作のラストというのもあり、どうなるか目が離せない



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