バレリーナ:The World of John Wick

★★★★

公開日  2025年8月22日
上映時間 125分

監督   レン・ワイズマン
脚本   シェイ・ハッテン エメラルド・フェネル
キャスト アナ・デ・アルマス アンジェリカ・ヒューストン ガブリエル・バーン ランス・レディック ノーマン・リーダス イアン・マクシェーン キアヌ・リーブス

公式サイトより抜粋

debuwo評価 87点
おすすめ度  ★★★(星4)

最先端アクション映画のスピンオフ!

2010年代に殺された犬の復讐というシンプルなストーリー
ホテルコンチネンタル、主席連合、血の誓印など独特の世界観
そしてCARシステムをはじめ、現代的なガンアクションと
映画的なエンターテイメントを見事なまでに融合させ
人気シリーズとなったジョンウィックシリーズのスピンオフ
主役は007シリーズやブレードランナーや
ネトフリオリジナル映画グレイマンでも存在感を示したアナ・デ・アルマス

セクシーで美しいだけではない主人公イヴ

まず本作の主人公イヴだが、アナデアルマスが演じるだけあって美しい
そしてバレリーナというタイトルから
多くの人がアナが美しく華麗な暗殺者を演じて活躍する事を想像するが
残念ながら彼女は殺し屋の才能はあってもバレエの才能はなく
さらにどちらかというキアヌ演じるジョンと同様に泥臭く勝つスタイルだ

ぼこぼこに殴られてガラスが刺さろうが爆弾で吹っ飛ばされようが立ち上がり
戦うことを止めないスタイルをこれほど美しい女優が演じる事に衝撃を受ける
銃の扱いや、アクションに関する真摯な取り組みは
本編だけでなく、メイキングからも見て取れて思わず応援したくなってしまう

ジョンウィック名物 射撃場でのリアル訓練

最高のグルーヴ感で見せる修業時代

ジョンウィックシリーズらしさといえばアクションや世界観だけでなく音楽も重要なパーツだ
各作品で盛り上がるシーンで流れるエレクトロやクラブミュージックはシリーズの名物的な部分
スピンオフである本作もにも抜かりはない
特にイヴが12年の歳月をかけて一人前の殺し屋として成長するトレーニングシーンで流れる
Become The Assassinは非常にグルーヴ感があって気持ちが揺さぶられる
この曲を提供したのはシリーズに楽曲提供しているLe Castle Vaniaでさすがの仕上がりだ。

シリーズを踏襲しながらも新鮮さを失わないアクション

CARシステムを駆使したガンアクションやカーアクション
その場にあるものを武器にする戦い方も健在
本作で特に推したくなるシーンは
イヴ初めての護衛ミッションのガンアクション
スリットから見えるガーターに仕込んだ予備弾倉を取り出すカットが
とてもスタイリッシュでセクシーでこれだけで本作を好きになれる

このシーンは数秒しかないけど五億点出てる

次に仕事を終え、その場を去るイヴの車を1ブロック先から
彼女の車に突っ込み、元居た場所に押し戻しそこから始まる銃撃戦
あえて引きの絵で見せるこのシーンはシームレスで行われ見ごたえ抜群だ

何ぃッッッッ!?となる唐突ぶり

そして予告でも登場する火炎放射器だろう
火炎放射器を手に入れたイヴが
敵を焼き尽くしていくそのシーンはなんとCGIを使用していない本物の炎で
彼女が劇中出来ている衣装も本物の防火服である
後に登場する消火ホースと水も本物でアナデアルマスが
飾られた花のような女優ではなく
本物のガッツを持った女優だとわかる

全部本物やんけ!!

ツッコミどころ①ジョンと詳細な時系列

本作終盤にイヴを止めるために派遣される最強の殺し屋ジョン・ウィック
本作での活躍ぶりは決して主役を食いすぎることもなく
格も保つ絶妙なバランス感覚でファンも安心してみることができる。
出しゃばってはいないが、彼が規格外の存在とわかる演出もとても良い

イヴの賞金400万 ジョンの賞金4000万 強すぎる

だが、彼の登場したタイミングには少し疑問が残る
公式では明言されていないが、本作は
ジョンウィック3から4までの間に並走して起きた事件とみて間違いない
しかし3の時点で彼は世界中から狙われるお尋ね者、満身創痍になっている
4作目の時点でケガは完治したようだが
お尋ね者なのは変わりない…

そしてジョンウィック3で日本刀で両腕が貫かれたディレクターが
登場するすべてのシーンで無傷なのも混乱の大きな要因だ。
ジョンウィック3から4の出来事は公式でも6か月とされている。
日本刀で両掌を串刺しにされるなどというけがは六ヶ月で完治しようはずもない。

贔屓目にみてコンセクエンスの1,2か月前に
ディレクターのケガも完治して
バワリーキングに匿われながらも
ジョンも全快して肩慣らしに依頼を受けた…と考えるべきか
でもそうなるとルスカ・ロマドイツ支部の幹部が殺された事を
ディレクターがスルーして依頼しているともなるし…
どんどん時系列の矛盾、というか整合性が取れなくなる

ディレクター「みんな言う事聞いてクレメンス…」

もう一点彼が劇中で使用した銃の疑惑
公式で明示されている資料はないが
世間ではあの銃はコンセクエンストで彼がパリで使用した銃
PITVIPERなのではないかとする記事が多い
いくつかネットに上がっているジョンが銃を使っているシーンを見ると
確かにPITVIPERかもと思える形状だが
筆者は3でジョンが使用していた銃・TTIコンバットマスターもしくは
海外のファンサイトではTTI_VIPERではないかとされている

流石にPITVIPERはない

PITVIPERはジョンウィック・コンセクエンス用にデザインされたハンドガンで
一丁で日本円にして100万円を優に超える高級品である
バワリーキングがジョンに譲っていたが
ジョンですらどこで手に入れたのかと驚愕するほどの逸品であり
チャド・スタエルスキ監督がこの銃の制作に如何に気を使っていたかは
ジョンウィックコンセクエンスのインタビューや
当サイトのコンセクエンス評を読んでいただければわかるだろう

宇多丸先生とチャドスタエルスキ監督の対談にてあったPITVIPERについて

ツッコミどころ②パイン生存

本作で娘を自由に生きさせるため組織を抜けて
娘と共に逃亡していたパイン
逃亡劇の末、銃で撃たれて倒れてしまう
しかし本編ラストになんと生存し、治療されている描写がされているのだ。
同行していたイヴは拉致され誰も助けに来ない状況にもかかわらず
彼が生きているのはジョンウィックシリーズが
アクションに重きを置いている映画とはいえ
石を投げれば殺し屋にあたるような世界観で
400万$のパインが横たわっていて無事なのは無理がある

せめてコンチネンタル・プラハの運営が
「ホテル内の戦闘に関しての参考人のため死なすせるわけにはいかない」
とか、最低限の理由付けをしてほしかった
続編の為か、スピンオフに登場予定なのか
何か忖度じみた生存になっている感じは否めない

忖度しか感じない生存

シリーズの続編について

2025年9月現在、ジョンウィックシリーズはドニー・イェンのスピンオフや
アニメプロジェクト・さらにナンバリング作品5作目の企画が進んでいる
筆者としては、きれいに終わった本筋を加筆するのは複雑ではあるが
87イレブン・プロダクションズには引き続き
イヴの活躍を描いてほしい

おまけ それはルール違反やろ!

シリーズというかジャンル映画定番ネタとして
今回もガンショップで装備調達シーンがあり
ファンとしてとても嬉しかったのだが
調達中に襲撃するのは反則やろ!!と楽しみながらも筆者は憤慨していた
次作ではきっちり調達シーンやってくれ!

変身中の魔法少女に攻撃すなー!

ジョン・ウィック歴代シリーズのレビュー

コメント